テキストの作り方

ふだん使いの言葉だからといって、ストーリーだけ覚えて、そのときどきに口から出てきた言葉で語るのではありません。きちんとテキストを作って覚えましょう。

では、テキストの作り方を説明します。


語りたい話をひとつ決めます。日常語の語りに慣れるまでは、できるだけ共通語のテキストを選びましょう。土地言葉でのテキストを使うと、どうしてもその言葉の影響を受けてしまい、自分らしい言葉にするのが難しいのです。


文末を、自分が普段使っている語尾に変えましょう。
「……です。」 は、 「……やねん。」 とか、「……だって。」 とか、「……だと。」 とか。その土地によってさまざまなバリエーションがありますね。これだけで、ずいぶん角の取れたやわらかな印象が生まれます。話し言葉らしくもなります。


そうやって語尾を変えると、他の部分が不自然に感じると思います。なかでも接続語。これも土地によってさまざまなバリエーションがあります。「 しかし 」 や 「 けれども 」 は、「 でも 」 とか、「 そやけど 」 とか、「 けんどな 」 とか、「 ほやけど 」 とか。「 そして 」 は、「 ほんで 」 「 ほで 」 「 ほいで 」 など。
それらを同じ意味のふだん使っている言葉に置きかえます。


これでずいぶん自分らしくなってきました。が、まだ不自然です。ことばには、土地によって異なるリズムがあるからです。そこで、間 ( ま ) やリズムが自然になるように、語順を入れかえます。


最後に、語彙を整えます。④ で出来上がったテキストを何度も読み返してみると、ふだんけっして使わない言葉が混じっていると思います。それを、同じ意味の、ふだん使う言葉に置きかえます。

ダウンロードして具体例 ( 『日本の昔話5ねずみのもちつき』小澤俊夫再話/福音館書店刊より ) を見てください。

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