しゅっぱつしんこう!

山本忠敬・作 福音館書店 1984年

電車絵本のピカイチです。

みなさんは、特急列車「はつかり」に乗ったことはありますか。東京と東北・北海道をつなぎ、1958年から、2002年に東北新幹線が八戸まで延伸したときまで走っていました。だから、今の子どもたちはもう見たことがない列車です。

『しゅっぱつしんこう!』は、みよちゃんがおかあさんといっしょに、はつかりに乗って出発、急行列車に乗り換え、普通電車に乗り換えて、おじいさんの家の最寄り駅まで行く、その行程を描いています。
 
古い知らない列車が書かれているのに、子どもたちに大人気で増刷を続けている、その魅力は、手に取ればすぐに分かります。列車の正確な描写は生命感にあふれています。そして、流れていく風景の、あくまでも背景でありながら、その美しさ。おとなにはノスタルジーを呼び起こしますが、子どもにとっては風土の生命を吹きこんでくれるのではないかと感じます。走る列車への作者の愛を感じます。
 
やまもとただよしさんは、乗り物絵本の作家として有名です。『しょうぼうじどうしゃじぷた』『とらっく とらっく とらっく』『のろまなろーらー』などなど。子どもたちは、主人公といっしょに走ります。

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