「1 赤ちゃんから」カテゴリーアーカイブ

いました

いました

五味太郎作 ブロンズ新社 2013年

カラフルなオタマジャクシのようなフライパンのようななにかが、進んでいきます。するとよく似た何かがこちらに向かってやって来ます。
通り過ぎます。
今度は、大きいのと小さいのがやって来ました。大きいのとぶつかりました。
という感じで、進んでいく主人公(?)が、他者といろんな形で出会います。
それを、「きました」「ぶつかりました」「よけました」と、ひとことで表します。
それがリズムがあって楽しいのです。
最後は、ずっと見開いていた眼がねむります。
ほっと安心の結末です。

年齢を選びません。

つないでつないで

福地伸夫作 福音館書店 2018年

「こどものとも012」のシリーズですが、幼稚園の5歳児と学童保育(小学1年生から6年生まで)で、読みました。このシリーズには、たまに、大きな子どもも楽しめる作品があります。

初めの見開きのページで、左からくろねこ、右からしろねこが、「てをつなぎましょう」といって現れます。次の見開きページで、「はい、つなぎましょう」と、二匹は手をつなぎます。あとは、ねこが右から現れては手をつないで増えていくだけの展開です。

同じ言葉のくりかえしのリズムが楽しく、子どもたちは自然に口にします。いつも「はい、」と肯定して、決してほかのことはいいません。だから、読み手も聞き手も、とても穏やかな気持ちになります。もしも物理的に可能ならば、最後にみんなで手をつないで、大きな輪を作りたいです。

ねこたちの顔の表情はよく似ているのですが、からだの表現がさまざまで、リズム感があります。

しろいかみ

谷内つねお作/西山悦子撮影/福音館書店 2018年『こどものとも0,1,2』の2018年2月号です。
 
背景は、はっきりした一色。その上に白い紙が置かれています。紙は、「くる」と丸まり、「くるくる」と丸まります。「ぎこ」と折れ曲がり、「ぎこぎこ」と折れ曲がります。影があるので、ほんとうにつかめそうです。一枚の紙が、単純だけれど自由自在に変形します。
2歳から4歳に読みましたが、ごく当たり前のことに、こんなに子どもは驚きを感じ喜ぶのかと、目を見張ります。

どうぶつのおかあさん

小森厚文/薮内正幸絵/福音館書店 1977年

子どもは赤ちゃんにとても興味を持ちます。お母さんに抱っこされている赤ちゃんやお父さんにおんぶされている赤ちゃん。では、動物の赤ちゃんたちはどんなふうに抱っこされているのでしょう。
 
ネコ。お母さんねこは、子どもをくわえて運びます。ライオンも口にくわえて運びます。くわえられている赤ちゃんのかわいらしいこと!
 
さるは、お母さんのお腹にしがみついています。チンパンジーは抱っこ。コアラは、おんぶです。では、なまけものは?カンガルーは、もちろん、分かりますよね。では像は?シマウマは?イノシシ、ハリネズミ。親の後から自分の足でついて歩くのは、早く自立するからでしょうか?人間の子どもがいちばん親とくっついているようです。
 
あたたかな動物絵本です。

プアー

長新太作、和田誠しあげ 福音館書店 2008年

長新太さんが2005年に亡くなる前に描かれたラフスケッチが遺されました。それを和田誠さんが彩色して完成させた本です。別に紹介した『わんわん にゃーにゃー』も同じようにして作られました。

犬が右向いて立ってるだけです。わんわん。

いきなり、しっぽがプアーとふくらみます。続いて耳がプアー。顔がプアー、鼻がプアー・・・。この発想、なにがなんだか(笑)。この魅力、幼い子を引きつける力はすごいです。おとなにはきっと分からない人もいると思います(笑)

犬のいっしょうけんめいな顔がすてきです。

ブルーナの0歳からの本 第3集 どうぶつ

ディック・ブルーナ 講談社 1997年

わが子が生まれたとき、うさこちゃんシリーズをどかっと譲っていただきました。
ブルーナの絵は、まっすぐ子どもの目を見つめています。原色を使った、輪郭のはっきりしたとても分かりやすい絵です。ですから、サイズは小さいのですが、遠くからでも見つけてはいよってきます。

『ちいさいことり』や『ゆきのひのうさこちゃん』『うさこちゃんとうみ』などは、まだ経験しないものがたくさん出てきます。でも絵画としての魅力から、赤ちゃんでもじゅうぶん楽しめるでしょう。もちろん、雪を経験し、浜での遊びを経験すると、うさこちゃんと気持ちを合わせることができます。通りすがりの本ではない、ということですね。

今回は、ほんとうに赤ちゃん向きのじゃばら絵本をご紹介しました。

こっちん とてん

かたやまけん作 福音館書店 2016年

「こどものとも 0,1,2」は、0~2歳対象の月刊絵本です。『こっちん とてん』は、その一冊。

スプーンが、こっこっこっこっとはねてきて、つぎのページでこっちんとたおれます。幼い子は常に経験しているからでしょうか、じっと見入ります。大きい子は、笑います。失敗するって、楽しいんですね。
つぎに、かなづちが、とんとんとんとはねてきて、つぎのページで、とてんとたおれます。つぎに目覚まし時計が、ちっくちっくちっく・・・じゃららららら。かさが、つんつんつん・・・・ばん。かさの開いた音です。

リズミカルな音の繰り返しにのってページを繰っていくと、音がどんどんクレッシェンドしていきます。失敗がつぎつぎ続いて、それが実に楽しいのです。
おおらかな絵本です。

ばいばい

まついのりこ作 偕成社 1983年

ページをめくると、ひよこが「こんにちは」。めくると「ばいばい」。まためくるとうさぎが「こんにちは」。めくると「ばいばい」いろいろの動物が、一匹ずつ登場しては、「こんにちは」「ばいばい」を繰り返します。一歳未満の子どもから喜びます。

子どもが自分以外の人とコミュニケーションをとる、その最初の動作がバイバイであることが多いですね。「こんにちは」もそうです。その続きに「いないいないばあ」があり、「ちょちちょちあばば」があり、手遊びを伴うわらべ歌へと発展していきます。これらは、おはなしの世界への第一歩です。

一歳の子に『ばいばい』を読んでみてください。子どもの集中力に驚きますよ。

わんわん にゃーにゃー

長新太作絵/和田誠しあげ/福音館書店刊 2008年

赤ちゃん絵本ですが、このユーモアは小学校高学年でもたのしみます。
犬がわんわん、ねこがにゃーにゃー。ねこが犬に近づいていきます。
そして、ねこは、犬の口の中に入ります。 犬はわふんわふん、ねこはにゃごにゃご。
ねこが犬の鼻の穴から出てきます。 犬はふわんふわん、ねこはにゃーニャー。・・・・・

たったこれだけなのに、こんなに楽しいのは、まさに長新太さんです。