名前をつけるおばあさん

名前をつけるおばあさん

シンシア・ライラント文 キャスリン・ブラウン絵 まついたかえ訳 新樹社 2007年 

丘の上の一軒家にひとり暮らしのおばあさんが住んでいました。
おばあさんは、長生きしたので、友だちはみんな先に死んでしまって、ひとりぼっちになりました。もう名前を呼ぶ人もいません。寂しくてたまりませんでした。
そこで、自分より長生きするものにだけ名前を付けました。自家用車はベッツィ、いすはフレッド、ベッドはロクサーヌというように。
こうして、おばあさんは、周りのものより長生きする心配は無くなって、幸せでした。

ある日のこと、子犬がいっぴき迷い込んで来ました。おばあさんはハムをやって、「うちへお帰り」といいました。犬は行ってしまいましたが、また次の日もやって来ました。
犬は毎日やって来ましたが、おばあさんは飼うことはできませんでした。なぜなら名前を付けなくてはならないからです。自分が犬より長生きしたときのことを想像すると、寂しくて飼うことはできませんでした。

ところが、もう成犬になったその犬が、いきなりおばあさんのうちにやって来なくなりました。おばあさん心配でたまらなくて、犬を探しはじめました。でも、なんて呼んで探せばいいのでしょう?

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