たからもの

たからもの

ユリ・シュルヴィッツ作 安藤紀子訳 偕成社 2006年

ヨーロッパでよく知られている昔話の類話を絵本にしたものです。イギリスでは「スワファムの行商人」が有名です。
話型的には「宝は自分の家にあり」という話群。

主人公はアイザックという男。貧しくて、「おなかをすかせたままとこにつくことも、めずらしくはなかった。」
作者の伝記を読めば、この一文にも実感がこもっていることが分かります。

ただの夢だと思っていたけれども、3度も同じ夢を見ると、「ほんとうかもしれない」と、宮殿まで長い旅をします。
昔話らしく、同じ言葉をくりかえして、一直線に出かけ、一直線に帰ってきます。

宝物を手に入れたアイザックは、感謝の気持ちを表すために、〈いのりのいえ〉を建てます。その壁の片隅に書いた言葉、それがこの絵本のテーマです。
「ちかくにあるものをみつけるために、とおくまでたびをしなければならないこともある」

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