五味太郎 偕成社 2002年
五味太郎の作品は、あんがい幼児に難しかったりするのですが、これはいけます。
小鳥が歌うと、花が咲きます。みんなワクワク楽しくなるのです。小鳥が歌うと、ぐったりしている猫も元気になります。しゃきっ。ブランコでけんかしているブタたちもにこにこ仲良くなります。などなど。
こんな小鳥が、あなたのところにも来ましたよ。
心が温かくなって、疲れたおとなはちょっとうれし涙がにじむかもしれません。
五味太郎 偕成社 2002年
五味太郎の作品は、あんがい幼児に難しかったりするのですが、これはいけます。
小鳥が歌うと、花が咲きます。みんなワクワク楽しくなるのです。小鳥が歌うと、ぐったりしている猫も元気になります。しゃきっ。ブランコでけんかしているブタたちもにこにこ仲良くなります。などなど。
こんな小鳥が、あなたのところにも来ましたよ。
心が温かくなって、疲れたおとなはちょっとうれし涙がにじむかもしれません。
田島征三 偕成社 1997年
おそろいの黄色い帽子に黄色いかばんの男の子と女の子。幼稚園児でしょうね。肩をくんでにこにこ笑っている表紙から始まります。見開き一面に、筆で、いろんな色いろんな大きさの「だいすき」が書かれています。
頁を繰っていくと、文章は、どのページも「だいすき」だけ。ミニトマトがふたつ、絡まっています。魚が二匹、ぴたっとお腹を合わせています。白鳥が長い首を絡ませています。みんな、みんな、「だいすき」をからだであらわしています。
タコの「だいすき」はたいへんです(笑)
エリシャ・クーパー作 椎名かおる訳 あすなろ書房 2017年
白地に黒の素朴な線で描かれています。
ひとりで暮らしている白猫のところに、ちびの黒猫がやって来ます。白猫は黒猫に、かしこい猫のすることを教えます。食べる、飲む、トイレなどなど。幸せな時がたち、黒猫は成長して白猫と同じ大きさになります。さらに時がたち、白猫がいなくなります。
悲しくてどうしようもない黒猫のところに、ちびの白猫がやって来ます、黒猫は、かつて教わったのと同じように、ちびねこに、賢い猫のすることを教えます。
命のつながり。
二匹の猫が抱き合って眠っている場面(3カ所)だけ、地の色が温かなクリーム色。白猫がいなくなった場面(1箇所)は灰色。
地味だし、難しいテーマのはずなのに、子どもたちは、もういちど読んでとアンコールしました。図書館のお話会、3歳から8歳の子どもたちでした。
ハイディ・ゴーネル えくにかおり訳 PRCO出版局 1992年
女の子のなんでもない一日が描かれます。
早起きして、服を着て、朝ごはんをたっぷり食べて・・・。色画用紙を切り抜いてはったような絵で、くっきりとした絵です。よくある日常ですが、バスで学校へ行ったり、ヴァイオリンの授業があったり、お昼休みは給食ではなくてベンチでパンを食べたりと、文化の違いが感じられます。家に帰ってからは友だちとバスケットやかくれんぼで遊び、夜には犬のえさをやり、夜ご飯の後はテレビを見たり本を読んだり。宿題をして日記を書いて寝る。
きちんとした日常は、平和だからすごすことができる。
ゲームの時間がないのがいいなあ。
高畠那生 絵本館 2003年
見開きの右ページに「ぼく、べんきょうはとくいじゃないけれど」と、男の子がノートの上にひじをつき、スツールに片足上げてつまらなそうな顔で、遠くを見ています。ノートの横にはおそらく算数と国語と思われる教科書が開かれています。同じ机の上に、鉛筆が二本と消しゴムが直立しています。
左ページには、「かみひこうきはとくい。」。同じ部屋の中、同じ机の前で、男の子は笑顔で紙飛行機を飛ばしています。右ページでは気付かなかったくず入れが、左ページでは大きく描かれ、中に紙飛行機がふたつ、そばには四つ落ちています。飛んでいるのも置いてあるのも手に持っているのも、紙飛行機はあちこちの方向を向いています。鉛筆と消しゴムは倒れ、算数の教科書は閉じられています。
このようなページ構成で、「ぼくむしにさされるのはだいきらい。」=「でも、ちゅうしゃはがまんできる。」とか、「ぼく、ちょっときがよわい。」=「でも、こたえはしってるんだ」とか、人には不得手なものと得意なものがあって当然だと主張しています。
最後のページは、登場した子どもたちがみんないっしょにジェットコースターに乗っている場面です。
子どもの健やかな心の成長に欠かせないのは、自己肯定感。親子で読んでほしいなと思う本です。
谷内つねお作/西山悦子撮影/福音館書店 2018年『こどものとも0,1,2』の2018年2月号です。
背景は、はっきりした一色。その上に白い紙が置かれています。紙は、「くる」と丸まり、「くるくる」と丸まります。「ぎこ」と折れ曲がり、「ぎこぎこ」と折れ曲がります。影があるので、ほんとうにつかめそうです。一枚の紙が、単純だけれど自由自在に変形します。
2歳から4歳に読みましたが、ごく当たり前のことに、こんなに子どもは驚きを感じ喜ぶのかと、目を見張ります。
赤木かん子作/藤井英美写真/新樹社 2016年
科学絵本です。わたしたちは、ふつう、梅の実と桃の実とサクランボの区別はつきますね。でも、葉っぱだけ並べてみて、どれがどれか分かりますか?冬になって葉っぱも落ちて裸になった木を見て、どれがどれか言い当てられますか?
どこがどう違うのか、花のつき方やおしべめしべのつき方まで、写真でわかりやすく説明してくれています。
ところで、この3種は、みな同じバラ目バラ科の木です。へえ、バラなんだと思われるかもしれません。じゃあ、うちの庭に咲いているバラとどこが同じなんでしょうって、調べてみたくなりませんか?
身近なところに知らないことがいっぱいあります。知るのはおもしろいです。
ゼバスティアン・メッシェンモーザー作/関口裕昭訳/光村教育図書 2009年
語り手「わたし」は中年の男性です。わたしは、歩いているとペンギンに会いました。ペンギンは、「空から落っこちたんだよ」といいます。
ペンギンは、鳥になりきれば飛べると思って飛んだんだけど、飛んでる最中にほかの飛んでいる鳥に出会ったとたん、自分は飛ぶようにはできていないなと不安になった。で、墜落したというのです。
かわいそうになったわたしは、ペンギンと暮らしはじめます。そして、ペンギンが飛べるように、奇想天外な方法を次つぎと試します。そのリアルな絵がとにかく笑えてしまうのです。
ある日、ペンギンの群れが頭上を飛んでいくのを見つけます。すると彼のペンギンはエイっとジャンプして・・・
さて、飛べたでしょうか?
ルース・クラウス文/マーク・サイモント絵/きじまはじめ訳/福音館書店 1967年
雪の降り積もる森の中。白黒モノトーンで雪原と、冬眠中の動物たちが描かれます。地面の下、石の間で眠っているのは野ネズミです。岩あなで眠っているのはクマ、木の洞にはかたつむりが眠っています。りすは木の中で、山ネズミは地面の下で。
いきなり動物たちは目を覚まし、雪の中を走りだします。
のねずみが鼻をクンクン。くまが鼻をクンクン。みんなみんな走りだします。
そして、ある地点でいっせいに立ちどまり、笑い、おどりだします。
最後のページのまんなかに、黄色い花が描かれ、動物たちは喜びにあふれた目で見つめています。心なしか、描かれている雪も、春の雪に見えてきます。
エウゲーニー・M・ラチョフ絵/うちだりさこ訳/福音館書店 1965年
ウクライナの昔話です。昔話絵本ではピカイチです。ラチョフはこの絵本を描いた後、違った絵柄で描き直していて、日本では2003年に田中潔訳で出版されています。新しいほうもおしゃれですが、古いほうが読者にはなじみがあり、また、昔話らしい雰囲気があるように思います。
おじいさんが森の中に落としていった手袋。ねずみが駆けてきて、「ここでくらすことにするわ」といって、はしご付きの家にします。そこへ、蛙がやって来ていっしょに暮らしはじめると、うさぎやきつねやおおかみやいのししもやって来て手袋の中で暮らしはじめます。
てぶくろにバルコニーがつき、ドアがつき、窓が付き、呼び鈴が付き。細部まで楽しめます。ウクライナの民族衣装も興味深いです。
最後にクマがやって来て、さて、手袋はどうなったでしょう?