katarinomori のすべての投稿

ウメ・モモ・サクラ

赤木かん子作/藤井英美写真/新樹社 2016年

科学絵本です。わたしたちは、ふつう、梅の実と桃の実とサクランボの区別はつきますね。でも、葉っぱだけ並べてみて、どれがどれか分かりますか?冬になって葉っぱも落ちて裸になった木を見て、どれがどれか言い当てられますか?

どこがどう違うのか、花のつき方やおしべめしべのつき方まで、写真でわかりやすく説明してくれています。

ところで、この3種は、みな同じバラ目バラ科の木です。へえ、バラなんだと思われるかもしれません。じゃあ、うちの庭に咲いているバラとどこが同じなんでしょうって、調べてみたくなりませんか?

身近なところに知らないことがいっぱいあります。知るのはおもしろいです。

空の飛びかた

ゼバスティアン・メッシェンモーザー作/関口裕昭訳/光村教育図書 2009年

語り手「わたし」は中年の男性です。わたしは、歩いているとペンギンに会いました。ペンギンは、「空から落っこちたんだよ」といいます。

ペンギンは、鳥になりきれば飛べると思って飛んだんだけど、飛んでる最中にほかの飛んでいる鳥に出会ったとたん、自分は飛ぶようにはできていないなと不安になった。で、墜落したというのです。

かわいそうになったわたしは、ペンギンと暮らしはじめます。そして、ペンギンが飛べるように、奇想天外な方法を次つぎと試します。そのリアルな絵がとにかく笑えてしまうのです。

ある日、ペンギンの群れが頭上を飛んでいくのを見つけます。すると彼のペンギンはエイっとジャンプして・・・

さて、飛べたでしょうか?

はなを くんくん

ルース・クラウス文/マーク・サイモント絵/きじまはじめ訳/福音館書店 1967年

雪の降り積もる森の中。白黒モノトーンで雪原と、冬眠中の動物たちが描かれます。地面の下、石の間で眠っているのは野ネズミです。岩あなで眠っているのはクマ、木の洞にはかたつむりが眠っています。りすは木の中で、山ネズミは地面の下で。

いきなり動物たちは目を覚まし、雪の中を走りだします。
のねずみが鼻をクンクン。くまが鼻をクンクン。みんなみんな走りだします。
 そして、ある地点でいっせいに立ちどまり、笑い、おどりだします。

最後のページのまんなかに、黄色い花が描かれ、動物たちは喜びにあふれた目で見つめています。心なしか、描かれている雪も、春の雪に見えてきます。

てぶくろ

エウゲーニー・M・ラチョフ絵/うちだりさこ訳/福音館書店 1965年

ウクライナの昔話です。昔話絵本ではピカイチです。ラチョフはこの絵本を描いた後、違った絵柄で描き直していて、日本では2003年に田中潔訳で出版されています。新しいほうもおしゃれですが、古いほうが読者にはなじみがあり、また、昔話らしい雰囲気があるように思います。

おじいさんが森の中に落としていった手袋。ねずみが駆けてきて、「ここでくらすことにするわ」といって、はしご付きの家にします。そこへ、蛙がやって来ていっしょに暮らしはじめると、うさぎやきつねやおおかみやいのししもやって来て手袋の中で暮らしはじめます。
 
てぶくろにバルコニーがつき、ドアがつき、窓が付き、呼び鈴が付き。細部まで楽しめます。ウクライナの民族衣装も興味深いです。
 
最後にクマがやって来て、さて、手袋はどうなったでしょう?

ゆきのうえのあしあと

ウォン・ハーバート・イー作/福本友美子訳/ひさかたチャイルド 2008年

雪が降り積もり、女の子がそりすべりをしているところからページが始まります。大きな雪だるまも作っています。ひとりきりなのですが、それでも雪遊びの楽しさが満載です。
女の子は雪の上に足跡を見つけます。誰の足跡だろうと、あとをつけて行きます。足跡はどこまでもどこまでも続きます。いろんな動物がいますが、どれの足跡でもありません。また雪が降りだし、寒くなって帰ろうと思っていると、足跡はお家に向かって続いています!さて、だれの足跡だったでしょう。
 
幼児からでも楽しめるかもしれませんが、オチがちょっと分かりづらいです。

サンカクさん

マック・バーネット文/ジョン・クラッセン絵/長谷川義史訳/クレヨンハウス 2017年

表紙のサンカクさんの目を見ただけで、はっと思いだす人は多いでしょう。『どこいったん』のジョン・クラッセンの絵です。

サンカクさんの家は三角で、建物?も、山?も、何もかも三角です。サンカクさんは、シカクに悪さをしにでかけます。すると、風景がどんどん変化します。「あーしんど」といいながらもどんどん行くと、山?も、建物?も四角い場所に到着します。シカクの家の入り口でサンカクさんは悪さをします。どんな悪さかって? それは読んでのお楽しみ。

怒ったシカクは、仕返しをしようと、サンカクさんといっしょにサンカクさんの家に向かいます。さて、どんな仕返しをしたのでしょう?

読後は、サンカクさんとシカクさん、ほんまはえらい仲ええねんなと笑うてしまいますねん。

ねむるまえにクマは

フィリップ・C・ステッド文/エリン・E・ステッド絵/青山南訳/光村教育図書 2012年

「冬がちかづいてきて、クマはねむくなってきました。」と、物語は始まります。丸太にこしかけたクマは、ほんとうに眠そうです。でも、冬眠に入る前に、みんなに話したいことがありました。それで、友だちを次つぎと呼びとめます。ねずみ、かも、かえる、でもみんな冬支度に大忙しで、クマの話なんて聞いていられません。もぐらなんて、もう冬眠していました。雪が降りはじめ、クマはあきらめてあなにもぐって眠ってしまいました。

何か月かして春になりました。クマはみんなを起こして回りました。そしてみんなを集めて話をしようと思いました。みんな楽しみに待っています。が、思いだせない…

『エイモスさんがかぜをひくと』と同じ作者のゆったり温かな絵本です。

だんだんやまのそりすべり

あまんきみこ作/西村繁男絵/福音館書店 2002年

いずみちゃんは友だちとみんなで、だんだん山にそりすべりに行きます。でもこわくてすべれない。みんなが、「いっちゃーん」って呼んでも、ひとり山の上で待っています。すると、山の反対のほうからも、「いっちゃーん」と呼ぶ声がします。見ると、そばに、やっぱりこわくてすべれない狐の男の子がいました。一郎という名前だからいっちゃんです。
 
ふたりのいっちゃんは、勇気を出して一緒に滑ってみることにします。

真っ白な画面にたくさんのそりが思い思いにすべっているのが見えます。人間も動物もいっしょになってすべっている様子が楽しいです。

雪が降ると、かならずお話会で読みます。

サイモンは、ねこである。

ガリア・バーンスタイン作/なかがわちひろ訳/あすなろ書房 2017年

表紙にはいかにも気の強そうな猫がでんとすわっています。この目ぢからのあるサイモンが、「こんにちは。ぼく、サイモンです。ぼくたち、にてますね」と声をかけてきます。子どもたちは、「え~っ、似てない」と言って笑いますが、ページをめくると、ライオン、チータ、ピューマ、クロヒョウ、トラが、やっぱり驚いて大笑いします。そして、サイモンをばかにします。サイモンはがっかりです。
でも、実は、似ているのです。ライオンたちは考えます。「みんな耳はいいよな」「りっぱなひげと、長いしっぽ」「鋭い歯、とがったつめ」「暗闇でもよく見える大きな目」。
 
サイモンが「それぜんぶ、ぼくも持ってます。ちっちゃいですけど!」というと、みんなは、自分たちがネコの仲間だったことに気がつきます。そして、みんなでネコらしくじゃれあって、一日じゅうなかよく遊びました。
 
こんなに楽しい動物絵本。みなさんもどうぞ。

どうぶつのおかあさん

小森厚文/薮内正幸絵/福音館書店 1977年

子どもは赤ちゃんにとても興味を持ちます。お母さんに抱っこされている赤ちゃんやお父さんにおんぶされている赤ちゃん。では、動物の赤ちゃんたちはどんなふうに抱っこされているのでしょう。
 
ネコ。お母さんねこは、子どもをくわえて運びます。ライオンも口にくわえて運びます。くわえられている赤ちゃんのかわいらしいこと!
 
さるは、お母さんのお腹にしがみついています。チンパンジーは抱っこ。コアラは、おんぶです。では、なまけものは?カンガルーは、もちろん、分かりますよね。では像は?シマウマは?イノシシ、ハリネズミ。親の後から自分の足でついて歩くのは、早く自立するからでしょうか?人間の子どもがいちばん親とくっついているようです。
 
あたたかな動物絵本です。