田島征三 偕成社 1997年
おそろいの黄色い帽子に黄色いかばんの男の子と女の子。幼稚園児でしょうね。肩をくんでにこにこ笑っている表紙から始まります。見開き一面に、筆で、いろんな色いろんな大きさの「だいすき」が書かれています。
頁を繰っていくと、文章は、どのページも「だいすき」だけ。ミニトマトがふたつ、絡まっています。魚が二匹、ぴたっとお腹を合わせています。白鳥が長い首を絡ませています。みんな、みんな、「だいすき」をからだであらわしています。
タコの「だいすき」はたいへんです(笑)
田島征三 偕成社 1997年
おそろいの黄色い帽子に黄色いかばんの男の子と女の子。幼稚園児でしょうね。肩をくんでにこにこ笑っている表紙から始まります。見開き一面に、筆で、いろんな色いろんな大きさの「だいすき」が書かれています。
頁を繰っていくと、文章は、どのページも「だいすき」だけ。ミニトマトがふたつ、絡まっています。魚が二匹、ぴたっとお腹を合わせています。白鳥が長い首を絡ませています。みんな、みんな、「だいすき」をからだであらわしています。
タコの「だいすき」はたいへんです(笑)
エリシャ・クーパー作 椎名かおる訳 あすなろ書房 2017年
白地に黒の素朴な線で描かれています。
ひとりで暮らしている白猫のところに、ちびの黒猫がやって来ます。白猫は黒猫に、かしこい猫のすることを教えます。食べる、飲む、トイレなどなど。幸せな時がたち、黒猫は成長して白猫と同じ大きさになります。さらに時がたち、白猫がいなくなります。
悲しくてどうしようもない黒猫のところに、ちびの白猫がやって来ます、黒猫は、かつて教わったのと同じように、ちびねこに、賢い猫のすることを教えます。
命のつながり。
二匹の猫が抱き合って眠っている場面(3カ所)だけ、地の色が温かなクリーム色。白猫がいなくなった場面(1箇所)は灰色。
地味だし、難しいテーマのはずなのに、子どもたちは、もういちど読んでとアンコールしました。図書館のお話会、3歳から8歳の子どもたちでした。
ルース・クラウス文/マーク・サイモント絵/きじまはじめ訳/福音館書店 1967年
雪の降り積もる森の中。白黒モノトーンで雪原と、冬眠中の動物たちが描かれます。地面の下、石の間で眠っているのは野ネズミです。岩あなで眠っているのはクマ、木の洞にはかたつむりが眠っています。りすは木の中で、山ネズミは地面の下で。
いきなり動物たちは目を覚まし、雪の中を走りだします。
のねずみが鼻をクンクン。くまが鼻をクンクン。みんなみんな走りだします。
そして、ある地点でいっせいに立ちどまり、笑い、おどりだします。
最後のページのまんなかに、黄色い花が描かれ、動物たちは喜びにあふれた目で見つめています。心なしか、描かれている雪も、春の雪に見えてきます。
エウゲーニー・M・ラチョフ絵/うちだりさこ訳/福音館書店 1965年
ウクライナの昔話です。昔話絵本ではピカイチです。ラチョフはこの絵本を描いた後、違った絵柄で描き直していて、日本では2003年に田中潔訳で出版されています。新しいほうもおしゃれですが、古いほうが読者にはなじみがあり、また、昔話らしい雰囲気があるように思います。
おじいさんが森の中に落としていった手袋。ねずみが駆けてきて、「ここでくらすことにするわ」といって、はしご付きの家にします。そこへ、蛙がやって来ていっしょに暮らしはじめると、うさぎやきつねやおおかみやいのししもやって来て手袋の中で暮らしはじめます。
てぶくろにバルコニーがつき、ドアがつき、窓が付き、呼び鈴が付き。細部まで楽しめます。ウクライナの民族衣装も興味深いです。
最後にクマがやって来て、さて、手袋はどうなったでしょう?
マック・バーネット文/ジョン・クラッセン絵/長谷川義史訳/クレヨンハウス 2017年
表紙のサンカクさんの目を見ただけで、はっと思いだす人は多いでしょう。『どこいったん』のジョン・クラッセンの絵です。
サンカクさんの家は三角で、建物?も、山?も、何もかも三角です。サンカクさんは、シカクに悪さをしにでかけます。すると、風景がどんどん変化します。「あーしんど」といいながらもどんどん行くと、山?も、建物?も四角い場所に到着します。シカクの家の入り口でサンカクさんは悪さをします。どんな悪さかって? それは読んでのお楽しみ。
怒ったシカクは、仕返しをしようと、サンカクさんといっしょにサンカクさんの家に向かいます。さて、どんな仕返しをしたのでしょう?
読後は、サンカクさんとシカクさん、ほんまはえらい仲ええねんなと笑うてしまいますねん。
ヨシタケシンスケ作/ブロンズ新社 2017年
2歳半の孫が、「りんごと同じ!」とさけんだそうな。そう、『りんごかもしれない』の作者です。ばあちゃんは『もうぬげない』と『あるかしら書店』にバカ受けしました(笑)
やわらかであたたかなのびやかな人物(?)たち。
朝がきて、起きて、着替えて、用意して。これはどうみてもパン作りです。う~ん、うどんかもしれない。彼はひたすら、こねてのばしてまたこねて、こねてのばして・・・・。
つついて、つまんで、おしつけて・・・すわらせて、おどって、・・・・
いったい、なにができるのでしょう? ああ、もうこれ以上は書きません。読んでください。孫は最後で大笑いしたそうです。わたしは、「あやまって」のところでいっちばん笑いました。
ルース・エインズワース作 こうもとさちこ訳・絵 福音館書店 1993年
ストーリーテリングで語られることもよくあるおはなしです。かわいいかわいい子ねこたちと、やわらかで愛情あふれるお母さんねこのタビ―夫人が、あたたかなタッチで描かれています。
しおちゃんとこしょうちゃんは、どちらが高くまで登れるか競争しようと、庭のもみの木に登っていきます。「うちよりも高い木」が、素話では想像しきれないほどの高さで描かれています。
下りられなくなったしおちゃんとこしょうちゃんは、カッコウに助けてもらおうとしますが、カッコウは飛んでいってしまいます。つぎに飛行機に呼びかけますが、やはり飛んでいってしまいます。夜の風に頼んでもだめ。子どもの好む三回のくりかえしのなかで、不安と寂しさがつのっていきます。
暗い木の下で動くふたつの緑色の光。不安が頂点に達したとき、やさしいおかあさんの姿と声が現れます。緑色の光はお母さんの目の色でした。ぶじ自分たちのかごの中にもどり、のどをごろごろ鳴らして、三匹はねむりました。行きて帰りし物語です。
おおなり修司文 高畠那生絵 絵本館 2017年
なぜかダチョウが群れをなして走っています。するとその羽がとんでフワフワ。カバが大きな鼻で羽を吸い込んで、ハックション。びっくりしたダチョウが、ダチョーと走っていくと、ワニやライオンが池に浸かっています。ダチョウがダダダダダー!と走りぬけたひょうしに、ライオンのたてがみがふわっと飛んでしまいます。なんと、かつらだったのだ?かつらがまたフワフワ飛んでいって、池に浸かっているかピパラ(?)の頭に乗っかります。
何とも言えないナンセンス絵本です。ダチョウの表情に大笑いすること請け合いです。
石井桃子文 横内襄絵 福音館書店1963年
ちょっとした猫ブームです。猫の絵本といえばこれ。50年以上も前に作られた本ですが、子どもたちをひきつけてやみません。古典中の古典です。
最初のページは、見開きで、広い部屋の畳の上に小さな猫がしっぽを振って座っています。何気なく外を見ている様子。いまにも外へ飛び出しそうな表情です。
「ちいさなねこ、おおきなへやに ちいさなねこ。」
石井桃子の文章は的確です。美しい文章というのは、正確な文章のことだと思わせてくれます。
あんのじょう、猫は縁側からおりて走りだしました。子どもにつかまったり、自動車に引かれそうになったり、大きな犬に追いかけられたり。犬に追いつめられて木の上に登りますが、下りられません。
でも、だいじょうぶ。お母さん猫が、子ねこの声を聞いて探しに来ます。お母さん猫の表情の頼もしいこと。
最後のページでは、子ねこがおかあさんのおっぱいをのんでいます。
幼い子には、冒険と帰還の物語、つまり「行きて帰りし物語」がぴったりなのです
ワンダ・ガアグ作 石井桃子訳 福音館書店 1961年
これも猫の本です。白黒画法の絵ですが、デフォルメされた雲や木や花は、自由に色を想像することができ、むしろカラフルにさえ感じさせます。
おじいさんとおばあさんは、ふたりきりで暮らしていて、とても寂しいのです。それで、猫が一匹いればいいなあと話しあいます。おじいさんは、丘を越え、谷を越えて、猫をさがしにでかけました。
とうとう、どこもここも猫でいっぱいの丘にやってきました。白い猫、灰色の猫、白黒の猫、茶色の猫・・・どれもこれもかわいくて、おじいさんは選びきれません。とうとうぜんぶ連れて帰ることにしましたが・・・。
ひゃっぴきのねこ
せんびきのねこ
ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきの ねこ
こり返しのリズムがここちよく、行列は進みます。ところが、家に帰ると、おばあさんが、「こんなにたくさんのねこに、ごはんはやれません」といいます。そこで、一兆匹の猫たちはけんかを始めます。
最後に残ったのは、どんな猫だったでしょうか。