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ならの大仏さま

加古里子作 福音館書店 1985年

奈良の東大寺は、いつも、遠足の小学生や、修学旅行生でにぎわっています。金堂(大仏殿)の柱の穴をくぐり抜けた経験をお持ちの人もおられるでしょう。

東大寺は、八世紀、聖武天皇の発願によって建立されました。そのころの世界の宗教の広がりからかきおこしたのが、この絵本です。仏教が大陸から朝鮮半島を通って日本に伝わります。伝わるにはそれなりの国内事情がありました。そのことを、世界地図、平城京の地図、当時の役人の給料表、皇室と藤原氏の系図、疫病流行の人々の様子の絵などなどで説明していきます。

大仏造営の過程は、基礎つくりから丁寧に描かれ、どれだけの費用と材料がどのように集められたのか、どうやって技術者や専門職人や作業者を集めたのかまで説明しています。

おそらく、高校の日本史の教科書より丁寧で、興味をそそると思われます。

さらにさらに、その後の二度の焼失と再興、現代にいたるまでの歴史が語られ、いま、わたしたちにとって「だいぶつさん」ってなんだろうという問題提起で終わっているのです。

もちろんすべての文章を読み聞かせることはできませんが、ぜひ子どもたちに紹介したい本です。読んだ大人もちょっとかしこくなるかも、です。
子どもの絵本といえども、詳細な調査に基づく本作り。かこさとしの面目躍如といったところでしょうか。

あなたこそたからもの

いとうまこと文/たるいしまこ絵/大月書店刊 2015年

解説によると、作者の伊藤真さんは1958年生まれの弁護士さん。夢は「世界の幸せの総量を増やすこと」だそうです。
 いとうさま、憲法の理念をこんなにわかりやすく書いてくださってありがとうございます。たるいしさま、子どもたちをこんなに温かく描いてくださってありがとうございます。本は、会ったこともない人と、心をつないでくれますね。

6年生のブックトークのために平和をテーマにした本を探していて見つけました。

子どもたちにお話を届けていて、いつも思っていることが書かれていました。それが、憲法の理念だとは、意識もしませんでした。そして、意識もしないほど、自分が憲法に守られて生きてきたのだと気づきました。