がたごと ばん たん

パット・ハッチンス作/いつじあけみ訳/福音館書店 2007年

ぼくは、おじいちゃんの手押し車にのって農場を進んでいきます。小さな赤いめんどりがついてきます。

明るい晴れた農場に、「がたごとばんたん」と繰り返しのリズムが明るく響きます。ぼくは、ジャガイモを掘り、ニンジンを掘り、玉ねぎを掘り、……高い蔓になっている豆も、地面のいちごもとります。ついてくるめんどりに、ぼくは、とっても得意そうに「こんなこともできるんだよ」といいます。

でも、あれ? めんどりは、鶏小屋に入ってしまいました。ついていくと、…!

この本の中には30種以上の植物が描かれています。それを見るだけでも楽しい絵本です。

時計つくりのジョニー

エドワード・アーディゾーニ作/あべきみこ訳/こぐま社 1998年

ジョニーは手先のとても器用な男の子です。でもかなづちやトンカチであれこれ作りはじめると、お父さんもお母さんも、うるさいといってどなります。

ジョニーのお気に入りの本は、『船のもけいのつくりかた』『テーブルといすのつくりかた』『大時計のつくりかた』の三冊です。
ある日、ジョニーは「大時計をつくろう」と思いつきました。嬉しくて、両親や教室でこの思いつきを話しました。でも、みんなはそれを聞いてジョニーをばかにして笑いました。それでもジョニーはあきらめません。

だれにも、身につまされるような経験が少なからずあります。だから、読みながら思わずがんばれと応援してしまいます。作中にも頼もしい応援者がいます。

もちろん、ジョニーは素晴らしい大時計をつくります。

ものぐさトミー

ベーン・デュボア文絵/松岡享子訳/岩波書店刊 1977年

トミー・ナマケンボという名前からして、子どもたちは喜びます。そのトミーが電気仕掛けの家に住んでいて、自分で何もしないでも寝間着から抜け出してお風呂にすべりこみ、お風呂がからだを洗ってくれる、となると、「いいなあ」とうらやましがります。
ところが、ある晩嵐のせいで停電してしまうのです。そのあたりから爆笑につぐ爆笑で、私も笑いながら読んでいます。
絵は大きくはないのですが、教室の後ろの子どもにもよく見えます。

わんわん にゃーにゃー

長新太作絵/和田誠しあげ/福音館書店刊 2008年

赤ちゃん絵本ですが、このユーモアは小学校高学年でもたのしみます。
犬がわんわん、ねこがにゃーにゃー。ねこが犬に近づいていきます。
そして、ねこは、犬の口の中に入ります。 犬はわふんわふん、ねこはにゃごにゃご。
ねこが犬の鼻の穴から出てきます。 犬はふわんふわん、ねこはにゃーニャー。・・・・・

たったこれだけなのに、こんなに楽しいのは、まさに長新太さんです。

あなたこそたからもの

いとうまこと文/たるいしまこ絵/大月書店刊 2015年

解説によると、作者の伊藤真さんは1958年生まれの弁護士さん。夢は「世界の幸せの総量を増やすこと」だそうです。
 いとうさま、憲法の理念をこんなにわかりやすく書いてくださってありがとうございます。たるいしさま、子どもたちをこんなに温かく描いてくださってありがとうございます。本は、会ったこともない人と、心をつないでくれますね。

6年生のブックトークのために平和をテーマにした本を探していて見つけました。

子どもたちにお話を届けていて、いつも思っていることが書かれていました。それが、憲法の理念だとは、意識もしませんでした。そして、意識もしないほど、自分が憲法に守られて生きてきたのだと気づきました。

せかいのひとびと

ピーター・スピア作/松川真弓訳/ 評論社刊 1982年

地球上の人々がどんなに違っているか、興味と好奇心に駆られて細かく詳しく楽しく見てしまいます。

みんな同じだったらどんなにつまらないか。うしろから2番目の見開きページに、灰色の町が描かれます。さいごのページをめくると、この町のなんと雑多で美しいことでしょう。

グループへの読み聞かせには向きませんが、ブックトークや本の紹介にはよく使います。

どんぐりころちゃん

正高もとこ作絵/鈴木出版刊 2015年

どんぐりころちゃんが木からとびおりて散歩に行きます。歌いながら歩いていきます。 ♪ どんぐりころちゃん……

ある日のおはなし会でこの本を読みました。以下、実況中継。

「 わあ、どんぐりころちゃんや~ 」
子どもたちは、おはなし会の始まりで歌った歌が出てくるので、おおよろこび。いろんな形のどんぐりに次々と出会って、いっしょに歩いていきます。
「 ♪ どんぐりころちゃん あたまはとんがって…… 」
ページを繰るたびに子どもたちもいっしょに歌います。ほんと、たのしい~
そこへ、リスがやって来ます。
「 ひゃあっ 」
子どもたちはすっかりどんぐりになりきっています。
リスが 「 おいしそうなどんぐりたち。わたしについておいで。いいところにつれて
いってあげるから 」 というと、子どもたち 「 あかんあかん。いったらあかん 」
どんぐりたちは木の葉の下に隠れます。
リスはどんぐりたちを見つけられなかったけど、葉っぱのあいだから、ちらっちらっと見えてるんですね。
子どもたち 「 みえてる~。あそこ。ここも~ 」
ひとしきりミッケをやってから ( 笑 )、さいごのぺージへ。
子どもたち 「 あ~、芽が出てる~ 」

表の見返しにはわらべ歌が楽譜つきで載っているし、裏表紙には、登場したドングリたちの名前が紹介されています。
子ども心満載、遊び心いっぱいの、地味だけれどぜいたくな絵本です。

バナナじけん

高畠 邦生作/BL出版刊  2012年

道にバナナが一本おちていました。そこへ猿がやってきました。どうするとおもう ? もちろん食べますね。猿はバナナの皮をぽいっと捨てていってしまいます。そこへウサギが走ってきます。どうなると思う ? もちろん滑りますね。あとからワニがやってきてその川を背中に乗せて歩いていきました。そして、落ちたバナナは一本ではなかった ! そこで猿は次から次 と… 、ウサギは次から次と、 … ワニは次から次と … 。聞いている子どもたち、笑いが止まらない。

よあけ

ユリ・シュルヴィッツ作/瀬田貞二訳/福音館書店刊  1977年   

暗い木の下でお爺さんと孫が寝ています。静まり返った湖畔。モノトーンの景色に少しずつ色合いが浮かんできます。それにつれてそよ風の揺らぎや蛙が水に飛び込む音が描かれていきます。お爺さんと孫は火を焚いて朝ご飯を作り、湖にボートをこぎだします。とつぜん太陽が昇ります。そのまばゆい美しさ。はっと息をのむ美しさです。
わが子が一歳のとき、はじめて自分から手を伸ばした本です。