フルーツパフェをちゅうもんしました

フルーツパフェをちゅうもんしました

岡田よしたか PHP研究所 2024年

ヨージさんは、喫茶店で大好きなフルーツパフェを注文します。大きなおいしそうなフルーツパフェが運ばれてきました。そのとき、
「あ、そうや! ようじ おもいだした」
ヨージさんは、お店の人に、すぐにもどるから、パフェはこのままにしておいてといって店を出ます。買い物を忘れていたのです。

買い物を済ませたヨージさん、
「あ、わすれてた」と、郵便局へ。小包を出しに行きます。
郵便局から出ると、「あ、そうや」と、家に走って帰ってお米を洗います。

ところが・・・
ヨージさんはつぎつぎと忘れていた用事を思い出します。
でも、フルーツパフェのことを忘れているわけではありません。ヨージさんは、宇宙から喫茶店のおばさんに電話をします。
「もうちょっとで、ようじ おわるから・・・・」

おちば

おちば

おーなり由子文 はたこうしろう絵 ほるぷ出版 2024年

今年は暑い夏が長く続きましたが、秋の紅葉はうまく色づいてくれるでしょうか。
いい紅葉が見られなかったら、この絵本で紅葉狩りを楽しんでください。

森の道を男の子が歩いています。
地面も頭上も、あか、き、だいだい、・・・・いちめんの紅葉です。

男の子は、足の下に落ち葉を聞き、落ちてくる落ち葉を聞きます。
集めて抱えて放り投げます。竹ぼうきをずるずる引きずって落ち葉を集めて山にします。もちろん、飛びこみます!

風の音、鳥の声。落ち葉たちも歌いだします。
音も色も、にぎやかだけど静かな絵本です。

おおきなおおいなおいも

赤羽末吉 福音館書店 1972年 

副題に「鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による」とあります。
明日は幼稚園のいも掘り遠足。ところが朝になってみると雨が降っています。遠足は1週間、延期になりました。
子どもたちががっかりしていると、先生が、
「おいもは、ひとつ寝るたびに大きくなる」といいます。
子どもたちは、おいもが1週間でどんなに大きくなるか想像をひろげます。そして、それを絵に描きます。
紙をどんどん継ぎ足して、おいもは大きく大きくなります。
こんなに大きなおいもをどうやって運びましょう?

絵に描かれたおいもが、子どもたちの想像の中で、いつしか現実のものになっていくのがおもしろいです。
この本を見ている子どもたちは、ページを繰るたびにおいもが大きくなっていくのを、びっくりしながら大喜びします。おはなしの中の子どもと一体になっているのです。

ヒガンバナのひみつ

かこさとし作 小峰書店 1999年 

「かこさとし 大自然のふしぎえほん3」
科学絵本です。ヒガンバナについて徹底的に詳細に教えてくれます。しかも、絵にユーモアがあってあたたかく、人と植物への愛があふれています。
それにしても、ヒガンバナにはなんとたくさんの呼び名があることでしょう。そして、その名前の数だけ、人とのかかわり方があることが分かります。
自分の住む地方の呼び方を知るのも楽しいです。

幼児からとしましたが、自然科学の絵本は、年齢に関係なく楽しめます。

ひとりぼっちのオオカミ

ひとりぼっちのオオカミ

ケイティ・スリヴェンスキー文 ハンナ・サリヤー絵 大竹英洋訳 BL出版 2024年 

そのオオカミの子は、生まれたときから、自分はきょうだいたちとは違うという違和感を持っていました。きょうだいたちは、ほんとうにオオカミらしいのに、じぶんはちっともオオカミらしくない。
オオカミの子は、オオカミらしくなろうと、努力します。でも、きょうだいたちにはなかなか追いつけなくて、孤独を感じます。そして、あるとき、ほんとうに群れに取り残されてひとりぼっちになってしまいます。そもとき、見たこともない動物と出会います。その動物とオオカミの子は、少しずつ、少しずつ近づいて行きます。
巻末に、解説があって、地球上に犬があらわれる前はどんなだったか、犬の起源はどんなだったか、犬はなぜ人に飼われるようになったか。それらの探求をもとにこの絵本は書かれています。絵は内容にマッチして、オオカミの子への愛にあふれています。

それよりこわい

それよりこわい

作・村中李衣 絵・近藤薫美子 佼成出版社 2023年

あなたの怖いものは何ですか?
小学生がふたり、学校の帰り道、「きょう、せんせい、むっちゃこわかったなあ」と愚痴っています。でもそれより怖いものが向こうからやって来ました。大きな口をあけた犬の顔は迫力満点です。
ふたりは、それより怖いものは何かと、つぎつぎ言い始めます。
病院の屋上、吊り橋、昇りだけのエスカレーター、だれもいない森の中・・・
と、どんどんエスカレートしていきます。
ページをめくるたびに読んでいるのが怖くなっていきます。

すしん

たなかひかる ポプラ社 2023年

お寿司たちが織り成す奇想天外な逃走劇。

最初に登場するのは、マグロのにぎり。まぐろのにぎりは、いきなりねじ込み式キャスターに飛び乗って走り出す。
すしーん
すると、たまご、えび、サーモン、ほたて、うに、いくら、・・・
みなキャスターを付けて、全速力で、走る、走る。
そこへ、プロペラをつけたお寿司の集団が飛んできて、まぐろのにぎりから、ネタだけつかんでぬすんでいく。しゃりとわさびだけになったにぎりの途方に暮れた表情が、何んともまぬけであわれ。
大人も思わずくすっと笑ってしまいます。
ところがそこで終わらない!
ものすごい「すしーん」と音がして、やってきたのは・・・・

あかちゃんのゆりかご

あかちゃんのゆりかご

レベッカ・ボンド作 さくまゆみこ訳 偕成社 2002年

最初のページは見開きで、赤ちゃんが生まれてくると分かった時の家族たちの喜びのダンスが描かれます。
お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん、ぼく。犬も踊り、窓の外の庭の木も踊りだしそうです。

みんなはそれぞれ、赤ちゃんをむかえるために、何かできることはないかと考えます。そして、お父さんは板を切ってゆりかごを作りました。しっかりできたので、お父さんはゆりかごに入ってみます。そして、あかちゃんみたいにすやすやと眠ってしまいます。
おじいちゃんは、ゆりかごにペンキで色を塗り、海や魚やキリンやシマウマを描きます。うまく描けたので、おじいちゃんはゆりかごに入ってみます。やっぱりすやすや眠ります。
おばあちゃんも、ぼくも、ゆりかごに何かを加えて行きます。
お母さんは、出来上がったゆりかごに何かが足りないと感じて・・・

明るく、温かく、楽しい絵で誕生の喜びを伝える絵本です。

ごきげんならいおん

ごきげんならいおん

ルイーズ・ファティオ文 ロジャー・デュボアザン絵 むらおかはなこ訳 福音館書店 1964年

フランスのおしゃれな街とアフリカの猛獣らいおんとのコントラストがさえています。
街の中の公園に小さな動物園があって、その岩山に、らいおんが住んでいます。街の人たちは、このらいおんにいつも声をかけてくれます。だから、らいおんは、いつもごきげんです。とくに、飼育係の息子フランソワとは、仲良しでした。
あるとき、飼育室のドアがしめわすれてありました。そこで、ごきげんならいおんは、今日は自分が町のみんなのところへ声をかけに行こうと思います。ところが、らいおんが石畳の道を歩いていくと・・・

安全な場所からだと相手をする大人と、どんなときでも友だちでいる子どもと。本当の信頼とは何かと考えさせられます。

アブラ・カダブラ・タクリコ

きたむらさとし BL出版 2019年

シルクハットの中から出てきたのは、うさぎのハティー。
ハティーは、魔法が使えます。

アブラ カダブラ カタクリコ

魔法の言葉を唱えると、帽子の中から出てきたのは・・・ねこ!

アブラ カダブラ カタクリコ

こんどは、リスが出てきます。
シルクハットからちょっとのぞいている動物の一部から何が出てくるのかを想像する楽しみがあります。
想像を裏切るものも出てきますが、それが愉快です。

一番大きいゾウをみんなでひっぱりだすと、あとはもう何もないのかな?
のぞいてみたら・・・うわー!