ゆきのうえのあしあと

ウォン・ハーバート・イー作/福本友美子訳/ひさかたチャイルド 2008年

雪が降り積もり、女の子がそりすべりをしているところからページが始まります。大きな雪だるまも作っています。ひとりきりなのですが、それでも雪遊びの楽しさが満載です。
女の子は雪の上に足跡を見つけます。誰の足跡だろうと、あとをつけて行きます。足跡はどこまでもどこまでも続きます。いろんな動物がいますが、どれの足跡でもありません。また雪が降りだし、寒くなって帰ろうと思っていると、足跡はお家に向かって続いています!さて、だれの足跡だったでしょう。
 
幼児からでも楽しめるかもしれませんが、オチがちょっと分かりづらいです。

サンカクさん

マック・バーネット文/ジョン・クラッセン絵/長谷川義史訳/クレヨンハウス 2017年

表紙のサンカクさんの目を見ただけで、はっと思いだす人は多いでしょう。『どこいったん』のジョン・クラッセンの絵です。

サンカクさんの家は三角で、建物?も、山?も、何もかも三角です。サンカクさんは、シカクに悪さをしにでかけます。すると、風景がどんどん変化します。「あーしんど」といいながらもどんどん行くと、山?も、建物?も四角い場所に到着します。シカクの家の入り口でサンカクさんは悪さをします。どんな悪さかって? それは読んでのお楽しみ。

怒ったシカクは、仕返しをしようと、サンカクさんといっしょにサンカクさんの家に向かいます。さて、どんな仕返しをしたのでしょう?

読後は、サンカクさんとシカクさん、ほんまはえらい仲ええねんなと笑うてしまいますねん。

ねむるまえにクマは

フィリップ・C・ステッド文/エリン・E・ステッド絵/青山南訳/光村教育図書 2012年

「冬がちかづいてきて、クマはねむくなってきました。」と、物語は始まります。丸太にこしかけたクマは、ほんとうに眠そうです。でも、冬眠に入る前に、みんなに話したいことがありました。それで、友だちを次つぎと呼びとめます。ねずみ、かも、かえる、でもみんな冬支度に大忙しで、クマの話なんて聞いていられません。もぐらなんて、もう冬眠していました。雪が降りはじめ、クマはあきらめてあなにもぐって眠ってしまいました。

何か月かして春になりました。クマはみんなを起こして回りました。そしてみんなを集めて話をしようと思いました。みんな楽しみに待っています。が、思いだせない…

『エイモスさんがかぜをひくと』と同じ作者のゆったり温かな絵本です。

だんだんやまのそりすべり

あまんきみこ作/西村繁男絵/福音館書店 2002年

いずみちゃんは友だちとみんなで、だんだん山にそりすべりに行きます。でもこわくてすべれない。みんなが、「いっちゃーん」って呼んでも、ひとり山の上で待っています。すると、山の反対のほうからも、「いっちゃーん」と呼ぶ声がします。見ると、そばに、やっぱりこわくてすべれない狐の男の子がいました。一郎という名前だからいっちゃんです。
 
ふたりのいっちゃんは、勇気を出して一緒に滑ってみることにします。

真っ白な画面にたくさんのそりが思い思いにすべっているのが見えます。人間も動物もいっしょになってすべっている様子が楽しいです。

雪が降ると、かならずお話会で読みます。

サイモンは、ねこである。

ガリア・バーンスタイン作/なかがわちひろ訳/あすなろ書房 2017年

表紙にはいかにも気の強そうな猫がでんとすわっています。この目ぢからのあるサイモンが、「こんにちは。ぼく、サイモンです。ぼくたち、にてますね」と声をかけてきます。子どもたちは、「え~っ、似てない」と言って笑いますが、ページをめくると、ライオン、チータ、ピューマ、クロヒョウ、トラが、やっぱり驚いて大笑いします。そして、サイモンをばかにします。サイモンはがっかりです。
でも、実は、似ているのです。ライオンたちは考えます。「みんな耳はいいよな」「りっぱなひげと、長いしっぽ」「鋭い歯、とがったつめ」「暗闇でもよく見える大きな目」。
 
サイモンが「それぜんぶ、ぼくも持ってます。ちっちゃいですけど!」というと、みんなは、自分たちがネコの仲間だったことに気がつきます。そして、みんなでネコらしくじゃれあって、一日じゅうなかよく遊びました。
 
こんなに楽しい動物絵本。みなさんもどうぞ。

どうぶつのおかあさん

小森厚文/薮内正幸絵/福音館書店 1977年

子どもは赤ちゃんにとても興味を持ちます。お母さんに抱っこされている赤ちゃんやお父さんにおんぶされている赤ちゃん。では、動物の赤ちゃんたちはどんなふうに抱っこされているのでしょう。
 
ネコ。お母さんねこは、子どもをくわえて運びます。ライオンも口にくわえて運びます。くわえられている赤ちゃんのかわいらしいこと!
 
さるは、お母さんのお腹にしがみついています。チンパンジーは抱っこ。コアラは、おんぶです。では、なまけものは?カンガルーは、もちろん、分かりますよね。では像は?シマウマは?イノシシ、ハリネズミ。親の後から自分の足でついて歩くのは、早く自立するからでしょうか?人間の子どもがいちばん親とくっついているようです。
 
あたたかな動物絵本です。

こねてのばして

ヨシタケシンスケ作/ブロンズ新社 2017年

2歳半の孫が、「りんごと同じ!」とさけんだそうな。そう、『りんごかもしれない』の作者です。ばあちゃんは『もうぬげない』と『あるかしら書店』にバカ受けしました(笑)

やわらかであたたかなのびやかな人物(?)たち。

朝がきて、起きて、着替えて、用意して。これはどうみてもパン作りです。う~ん、うどんかもしれない。彼はひたすら、こねてのばしてまたこねて、こねてのばして・・・・。
つついて、つまんで、おしつけて・・・すわらせて、おどって、・・・・

いったい、なにができるのでしょう? ああ、もうこれ以上は書きません。読んでください。孫は最後で大笑いしたそうです。わたしは、「あやまって」のところでいっちばん笑いました。

クリスマスのちいさなおくりもの

アリスン・アトリー作/上條由美子訳/山内ふじ江絵 福音館書店 2006年

アリスン・アトリーは、1884年にイギリスのダービシャーの農場に生まれます。アトリーの作品は、野原や森が舞台で、うさぎや野ネズミなどの小さな動物たちが物語を作っています。この物語は1970年に書かれたものです。

クリスマス・イブなのに、お母さんが病気で入院しているので、お父さんとふたりの子どもは、クリスマスの飾りつけもせずに寝てしまいました。夜中の11時になると、ネズミたちがネコのおかみさんに、どうして飾りがないのかと文句を言います。そこで、ネコとたくさんのネズミたちと、一匹のクモが、飾りつけをして、ミンスパイを焼き、ケーキを焼き、みんなのくつ下をつるします。
 
そこへ、もちろん! サンタクロースがやって来ます。サンタクロースは、ネコやネズミやクモにもプレゼントをくれました。ネコには真っ赤な房飾りのついた首飾り、クモにはルビーの冠、ネズミたちにはダイヤモンド(もしかしたらまほうのつゆ)。
 
おはなしにぴったりの、やさしいかわいい絵です。

カイとカイサのぼうけん

エルサ・ベスコフ作/まつむらゆうこ訳 福音館書店 2016年

原作は1923年に出版されています。ベスコフといえば、『ペレのあたらしいふく』『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』がおなじみですね。スウェーデンの絵本作家です。

カイとカイサは兄妹で、森の奥の家に両親と住んでいます。ある日、倒れた枯れ木にまたがって遊んでいるとき、ふと、枯れ木に壊れた傘を打ち付けて、「枯れ木ドラゴン」にして遊び始めました。すると、オークの木にすんでいるトムテが魔法をかけて、生きているドラゴンにしてしまったのです。ふたりはドラゴンに乗って、おはなしの国へ冒険に出かけます。
ふたりはおひめさまと騎士を救いだします。

行きて帰りし物語です。

きのうえのおうちへようこそ!

ドロシア・ウォーレン・フォックス作/おびかゆうこ訳 偕成社 2017年 

10月に出たばかりの本です。原作は1966年にアメリカ合衆国で出版されました。

年配女性のツイグリーさんは、人とつき合うのが苦手で、木の上の家で犬のニャンコとふたりで暮らしています。ときどき、くまたちもやって来て、好きなことだけして楽しく生きています。買い物も、ニャンコがやってくれます。町の人たちは、ツイグリーさんを変わり者だといって、困った人だと思っています。とうとう市町の奥さんがツイグリーさんを追いはらってしまおうといいだしました。

ところがある日、大洪水が起こります。町の人たちや動物が、どんどん流されていくのですが、それを見たツイグリーさんは、なんとかして助けようと大活躍します。

暖かく懐かしい絵です。