夢枕獏文・松本大洋絵 偕成社 2019年
中国の思想書『荘子』に、混沌(こんとん)という帝の話があります。また、中国の古い神話に、混沌という名の怪物が登場します。それらをもとにかかれた絵本です。
こんとんは、目耳鼻口がなく、いつも空を見て笑っています。南海の帝と北海の帝が、こんとんのために目耳鼻口の七つの穴を開けてやります。そのとたん、こんとんは死んでしまうのです。
じぶんの 目で みる きく かぐ じぶんの 口で かたる
それは なんだか とてつもなく たいへんな ことだったんだろうね
と絵本の作者はいいます。そして、
こんとん こんとん きみのことが すきだよ
と。
さてさて、混沌は、カオスのこと。「混沌に目鼻を空ける」ということわざがあります。むりやり物事に道理を付けるという意味です。
こんとん、魅惑的な存在です。