オリヴィエ・ダンレイ作/たなやまや訳 評論社 2002年
寒い寒い雪の夜の一コマです。家の中には母親と赤ん坊のふたりだけ。静かな静かな、なべの中でお湯のわく音やほだぎのはぜる音が聞こえてきそうな絵です。粗末だけれど頑丈な家の中には、必要なものがじゅうぶん、あるべき所にあるという安心感が感じられます。
雪の降る、おそろしいような大自然の中に、母親は、赤ん坊を毛皮にくるんで出て行きます。
「ねえ ぼうや、 おそとは ゆき!」
見てごらん、嗅いでごらん、聞いてごらん、食べてごらん、と母親は赤ん坊に雪を教えます。雪のトロルを作り、そりすべりをし、思い切り遊んで楽しんで、ふたりは帰ります。
温かな家の中。赤ん坊はゆりかごで眠ります。母親は足を温め、お茶を飲み、こっくりこっくり眠ります。
この静けさは、高学年の子どもも楽しめます。