谷川俊太郎文/吉田六郎写真 アリス館 2008年
雪の結晶は見たことがありますか。ひとつとして同じものがない、六角形のもよう。宝石のように美しいけれど、さわると融けてしまう、はかないもの。
どのページも、紺色の地にさまざまな雪の結晶の写真が置かれています。ページをめくってもめくっても結晶。でも、見あきることはありません。
「たべたいな」
「あまいかな」
子どもたちは笑って、「あまい」「すっぱい」と口々に言ってくれます。
「でもおかねでかえない ゆびわにもできない」
そういう美しいものがこの世にあることを知ることは、たいせつだと思います。心をしーんとさせてくれます。作者は雪の結晶を「かみさまのおくりもの」だといいます。最後のページでは、解けていく雪の結晶を見せてくれます。はかなさを感じます。