ネコが見た”きせき”

マイケル・フォアマン作/せなあいこ訳 評論社 2001年

イエスキリストの誕生の物語は、古来絵画で表され、降誕劇として演じられてきました。絵本にも、たくさんの作品があります。

この『ネコが見た”きせき”』は、題名のとおり、ねこの目で描かれたキリストの誕生です。

その夜、外では雪が降っていて星が驚くほど明るく光っていたと、ネコはいいます。ネコは、牛やヤギといっしょに納屋の中にいて、ねずみを取ろうと考えていました。そこへ、いきなりとびらが開いて、雪まみれの人間がふたりとロバが入って来ます。赤ちゃんが生まれ、羊飼いたちがやって来て、ラクダに乗ったりっぱな人間が三人もやって来て、ねずみたちもぞろぞろ出て来て、みなで赤ちゃんを見つめます。

翌日、男の人と女の人は赤ちゃんをつれて出て行きました。その夜以来、ネコはねずみをいっぴきも取っていません。だれかと争うのが、すっかりいやになったからだと、ネコはいいます。

マリアやヨセフという名まえは出てきません。ただのネコに過ぎないのに、キリストの愛の心を手に入れた、奇跡の夜の物語です。

静かなクリスマスにぴったりの絵です。

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