なくのかな

内田麟太郎作/大島妙子絵 童心社 2018年

子どもって、油断しているとすぐ迷子になりますよね。
 
ここは、おまつりでしょうか。どうも歩行者天国のようです。老若男女が、食べたり歩いたりベンチに座っておしゃべりしたり。風船を持った子もいます。楽しそうです。でも、男の子がひとり、お父さんとお母さんにはぐれてしまいました。
 
ぼくは、じっとこらえて、考えます。
 
知らないどこかでひとりぼっちになったら、恐い鬼でも泣くのかな?
 
ページを開くと、山また山の鬼の世界で、赤鬼が「おかあさーん」「おとうさーん」と泣いています。
 
次はこわいオオカミ。
 
がけの上で、おおかみが遠吠えしています。
 
次は強いさむらい。
 
山の道でけものたちに取り囲まれて、「ははうえー」「ちちうえー」と泣いています。
 
次はおばけ。
 
鬼やおおかみたちは、男の子のまわりに集まって、「だれもみんななくんだよ。みんなないてもいいんだよ」といいます。とうとう男の子は思いきり泣きました。
 
すると、ちゃんと、お父さんとお母さんに会えました。
 
行楽のお供にどうぞ。

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