たまにはとおくへ

マイク・クラトウ作 福本友美子訳 マイクロマガジン社 2019年

「ちいさなエリオット」シリーズの第4冊目。エリオットは水玉模様の小さなぞうです。友達のねずみと、大都会で楽しく暮らしています。
 
エリオットは、小さくて弱くてちょっと間が抜けています。間が抜けているから強いのかもしれません。ねずみが、いつもちゃんとサポートしてくれます。子どもは、すぐにエリオットに心情的に同化できます。

エリオットは、食いしん坊なので、シリーズの4作とも、食べ物が出てきます。これも、子どもが喜ぶ要素ですね。
 
それから、わくわくする遊びを体験できます。「たまにはとおくへ」では、かくれんぼと、星空観察。
 
ある秋の日、エリオットとねずみは、バスに乗って郊外へピクニックに出かけます。その風景の秋色がすばらしい。農場のりんごを食べたり、葉っぱの山に飛びこんだり。そして、かくれんぼをするうち、エリオットは、ねずみとはぐれてひとりぼっちになってしまいます。存在の不安を、トウモロコシ畑のふたつの見開きが表しています。
 
なんとも懐かしい風情の農家で、新しい友達に囲まれて、おいしいごちそうを楽しむエリオット。夜になると、干し草にもぐりこんで、ねずみと、星の名前の当てっこをしながら眠ります。最後の見開きの星空もすばらしいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です