かあさん、だいすき

シャーロット・ゾロトウ文 シャーロット・ヴォーグ絵 松井るり子訳 徳間書店 2018年

原題は、『Say It!』。

風の強い秋の日、枯れ葉が舞い散るなかを、エレンとお母さんが手をつないで歩いています。学校からの帰り道でしょうか。

エレンは、お母さんにたずねます。
「ねえ かあさん、なに かんがえてる?」

お母さんは、にっこり答えます。
「かぜが とっても つよいわねって」

でも、エレンが言ってほしいのはそのことではありません。
 
枯葉をザクザク踏みしめて歩く音や、池に映る枯葉にさざ波が立って、色のかけらが混ざり合う様子。風で髪の毛が逆立って、わらってしまうふたり。ねこに会ったり犬に会ったりしながら家路をゆっくりたどります。秋の道を楽しみながらも、エレンは、お母さんに言ってほしい言葉を待っています。
 
エレンの言ってほしい言葉は何でしょう。エレンの言いたい言葉は何でしょう。
 
母と子の日常の、ささやかなほんのひとときが宝物であることを感じさせてくれる絵本です。

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