瓜子姫(うりこひめ)

よく知られている瓜子姫の話は、東北から九州まで広く分布しています。典型的な「瓜子姫」は、当ホームページ《日本の昔話》で紹介している「うりひめの話」に代表されるものです。
 
おばあさんが川で洗たくをしていると瓜が流れてきて、女の子が誕生する。瓜子姫と名づける。瓜子姫が機織りをしているとあまのじゃくがやってきて、家の中に入りこむ。あまのじゃくは瓜姫を外へ連れ出し、木にしばりつける。それから瓜子姫に化けて機織りをしている。おじいさんとおばあさんは気づかず、翌日あまのじゃくはかごに乗って嫁入りする。が、途中で声がして正体露見し、瓜子姫は無事お殿さまのところに嫁入りする。
 
これは、西南日本に伝わっている型です。
 
それに対して、東北地方や北陸では、瓜子姫があまのじゃくに殺される型が多く残っています。《日本の昔話》「きゅうり姫」に代表されるものです。顔の皮をはがれたり、瓜姫汁にされておじいさんとおばあさんに食べられたりと、ショッキングなモティーフが多くとられています。
 
お伽草子『瓜姫物語』や江戸時代の『嬉遊笑覧』など古い書物で読むことができる「瓜子姫」は西南日本型なので、西南日本型のほうが口伝えとして古いのではないかといわれています。
 
柳田国男は、瓜子姫を神に仕える織姫となぞらえて、古代信仰と結びつけています。
 
關敬吾は、AT408「三つのオレンジ」の類話ととらえ、外国から来た話型だと考えています。
 
どちらも興味深いですね。
 
ところで、あまのじゃくは、山姥、きつね、たぬきであることもあります。
あまのじゃくの正体がばれる場面は、東日本では鳥の声が知らせることが多く、西南日本では、瓜子姫自身が泣いて知らせることが多いです。
 
あなたの地方ではどんな「瓜子姫」が伝えられているでしょう。