累積譚(るいせきたん)

『国際話型カタログ』によると、ATU2000~2100までの話型が累積譚としてあげられています。
累積譚は形式譚のひとつです。 

形式譚というのは、話の内容にはほとんど意味がなくて、言葉や話し方の面白さが興味の中心である話群を総称していうそうです。よくあるのは、長い話をしてと聞き手にせがまれたとき「天からふんどし」などと話す「長い話」とか、梅の実が次から次と落ちつづける「果て無し話」、落語の「寿限無」のような「長い名の息子」などです。ときには、聞き手に手をつながせて「はなし!」といって放させる「はなし」などもあります。 

累積譚は、登場人物(動物)やエピソードがつぎつぎと鎖のようにつながって続いていく形式の話です。
 
「おばあさんとブタ」「ホットケーキ」などといえばおわかりでしょう。日本の現代の語り手がテキストにする「おはなしのろうそく」(東京子ども図書館)にもいくつか掲載されていて、子どもにも人気です。

これらの話の面白さは、繰り返しの言葉が正確に順序正しく続けられていくところにあります。子どもたちはすぐに覚えて自分たちでも唱えて楽しみます。また、早口言葉のように語って競争することもできます。
 
メインの話にはなりませんが、言葉遊びとして欠かすことのできないものです。 

語りの森ホームページでは、《外国の昔話》のコーナーに「犬を書いて飲む」「ありとこおろぎ」「フライラのひょうたん」「食いほうだいに食ったねこ」を、《日本の昔話》に「くらいくらい」を載せているので見てください。音声も聞いてみてくださいね。
 
 
また、『世界の民話』全36巻(小澤俊夫編/ぎょうせい刊)等から、AT番号をてがかりに累積譚のリストを作りました。興味のある方はどうぞごらんください。