ぼくのブック・ウーマン

ヘザー・ヘンソン文 デイビッド・スモール絵 藤原宏之訳 2020年 さ・え・ら書房

今から90年ほど前のアメリカには、荷馬図書館員がいました。
馬に本を積んで、図書館から山間部などに届けるしごとをします。
多くが女性で、ブック・ウーマンとよばれていました。

カルは、ほとんど人が通わない山の上に住む少年です。
両親と、祖父母、妹と弟体と暮らしています。
遠すぎて学校など行くこともできません。
けれども、月に二回、ブックウーマンが馬に乗ってけわしい山道をやってきて本を置いて帰ります。本は無料で、どんなお礼も受け取りません。
妹のラークは本が好きで、宝物のように喜んで読みふけります。
カルは、にわとりがひっかいたような文字だといって、ラークを馬鹿にしているのですが、やがて、寒い雪の日も嵐の日も欠かさずやってくるブック・ウーマンの勇気に心動かされて、ラークに文字を教えてもらいます。

春が近づいたある日、カルは、やってきたブック・ウーマンに、贈り物をしたいといいます。ブック・ウーマンの答えは、
「わたしのために本を読んでほしいわ」でした。
カルは、新しい本を開いて声に出して読みました。
「プレゼントはそれでじゅうぶん!」と、ブック・ウーマンはほほえみました。

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