「2 幼児から」カテゴリーアーカイブ

やさいはいきている

やさいはいきている~そだててみようやさいのきれはし~

藤田智監修/ひさかたチャイルド 2007年

副題は「そだててみよう やさいの きれはし」。しぜんにタッチシリーズの写真絵本です。
にんじん、じゃがいも、ごぼう、ほうれんそう、キャベツ、等々、子どもたちがよく見る野菜が集合。
やさいたちは、みんな生きているのです。命が宿っている。ふだんはそのことに気が付きませんが、野菜が生きていることが分かる方法があります。
料理のあとの切れ端を水に入れておくといいのです。
大根やにんじんは、葉っぱのほうを上にして深皿に入れます。ホウレンソウやこまつなは、根っこのほうを下にしてコップに入れます。
どちらも畑に植わっていたときと上下が同じです。すると、根が出て、葉っぱがのびて、花が咲きます。
にんじんの葉っぱの美しいこと!
キャベツの芯から葉っぱがどんどん増える様子は、造形美に驚きます。
大根の花のかれんなこと!
根っこと芽が出たジャガイモを土に植えれば、新しいジャガイモが生まれます。

簡単にお家で実験できて、命について実感できます。

ママー、ポケット!

デヴィッド・エズラ・シュタイン作 ふしみみさを訳/光村教育出版 2018年

赤ちゃんカンガルーのジョーイは、初めてママのおなかのふくろから外をのぞきました。そして、「ママ、おそとをピョンピョンしたいよ」とせがみます。
ピョンピョンと2回はねると何かが飛んでいます。
「きみ、だあれ?」とジョーイが聞くと、それは、「ハチだよ」と答えました。そのとたん、ジョーイは「ママー、ポケット」と、あわててママのポケットに飛び込みました。でも、安心すると、すぐにまた、外へ出たくなるジョーイ。
今度は、ピョンピョンピョンを三回はねて、また誰かに会います。
「きみ、だあれ?」「ウサギだよ」で、また「ママー、ポケット!」
幼い子は《出かけて行っては安心できる所に帰って来る》を繰り返して外の世界を自分のものにして行くのですね。それがとても愛らしく、描かれています。
ジョーイを黙って見守るママの視線も素敵です。
少しずつ遠くはねていく様子が、遠近法で描かれていて、幼い子にもよくわかります。
最後に出会ったのはだれでしょう?

ラチとらいおん

マレーク・ベロニカ文・絵/とくながやすもと訳/福音館書店 1965年 

ラチは、世界一弱虫の男の子です。
ラチは飛行士になりたいのですが、犬は怖いし、暗い部屋も怖いし、友達さえ怖いのです。それで、ラチはいつも仲間外れにされて、泣いてばかりいました。
ラチは、ライオンの絵が大好きで、こんなライオンがいたら何も怖くないんだけどと思っています。

ある朝、目を覚ますと、ベッドのそばに、小さな赤いライオンがいました。ライオンは、とても強くて、片手で椅子を持ち上げることができました。
ラチはライオンに強くなる方法を教えてもらいます。

自分を小さく弱い存在だと感じている幼い子にとって、切実な願いをかなえてくれるライオンは、お守りのような存在です。
そして、いつか、お守りがなくても、ひとりでいじめっ子をやっつけられるほど、強くなれるのです。
勇気と希望を与えてくれるおはなしです。

ニットさん

たむらしげる作 イースト・プレス 2012年

ニットさんは、毛糸の編み物が得意なおばさんです。シャカシャカとどんどん編んで行きます。
まずはふわふわの椅子。のどがかわいたので、テーブルと、ティーポットと、カップ。風が吹いてきて寒くなったので、大きな家!
毛糸の玉と、毛糸のメリヤス編みは、写真を使ってあるので、リアリティがあって、おお~っと驚いてしまいます。
 
夜になると、三日月を編み、ベッドを編んでおやすみなさい。
よく見ると、地球も土星も、星たちも、みんな毛糸で編んであります。

ひよこのコンコンがとまらない

ポール・ガルドン作/福本友美子訳 ほるぷ出版 2007年

北欧の昔話です。めんどりのコッコさんが、ひよこのタッペンを連れて森に出かけます。おいしい種が落ちていないか探しに行ったのです。
コッコさんはタッペンに、大きい種は食べてはいけない、コンコン(せき)が出るからといいました。ところが、タッペンは、大きい種を飲みこんで、せきが止まらなくなりました。
 
コッコさんは、水をくみに泉へ行きますが、泉はコップを持ってこないと水をやらないといいます。
そこで、コッコさんは、かしの木にたのみましたが、かしの木は枝をゆすってくれなければ、コップをやらないといいます。
そこで・・・コッコさんは、木こりの息子、くつ屋、雌牛・・・と、必死で走ってたのみに行きます。連鎖譚です。

絵は、素朴であたたかいです。コッコさんは左から右へ走って行き、出会うものたちは、右にいて左を向いています。だから、連鎖譚の楽しさがわかります。

うどんのうーやん

岡田よしたか作 ブロンズ新社 2012年

主人公は、きつねうどん。どんぶりばちから威勢よくのびている二本のうどんが手になって、お箸もつかめるし、腕組みもできます。
 
うどん屋にうどんの出前の電話がきます。ダイヤル式の黒電話!
 
「うーやん でまえや。たのむでー」
「ほな いってきますう」

人手不足なので、うどんのうーやんは、自分でお客さんの家に行かなければなりません。威勢よく走りだすと、後ろから、おあげとお箸が追いかけます。

途中で出会ったやせねこに、うどんを食べさせてやり、半分に減ったうどん。困ったうーやんは、お客の家に向かう道で会った者たちと仲間になって、どんぶりに入れていきます。そうめん、めざし、うめぼし、とうふ、たこやき、ミニトマト、コロッケ、エビフライ。川をわたり、山を越え、河内音頭を歌いながら進みます。

名付けて、にぎやかうどん!

大阪弁の文章なのですが、関西人でなくても、なりきって読めばきっと楽しいと思います。

あかちゃんがやってきた

角野栄子作/はたこうしろう絵 福音館書店 2009年

1998年に月刊「こどものとも」として発行された絵本のハードカバー版です。
 
お母さんが、ケイくんにささやきます。「あかちゃんがうまれるの」。
 
お母さんのおなかが少しずつ大きくなるにつれて、ケイくんは、期待したり、しっとしたり。おかあさんは、そんなケイくんの気持ちを大事に、大事にして、おなかの中の赤ちゃんとコミュニケーションを取らせます。
 
弟が生まれると想定して、ケイくんは、何をして遊ぶか考えます。楽しみで仕方がありません。
 
お母さんが入院して、ケイくんは、お父さんといっしょに病院に行きます。赤ちゃんとご対面です。ベッドには、男の子と女の子。ふたごです。
 
「ちっちゃいなあ。ぼく おにいちゃんになったんだ。」

思わず「おめでとう」っていいたくなるようなおしゃれでかわいい絵本です。

いったでしょ

五味太郎作 偕成社 2003年

幼児からと書きましたが、小学生でも十分楽しめます。むしろ小学生のほうがこのユーモアは分かるかもしれません。
 
子馬?とお母さん馬。馬?ろばかな?人間?ではないしなあ。と、いつものように正体不明の登場人物です。

子馬(にしておきましょう)は、お母さんの後から歩いて行きます。
道に穴があります。お母さんが「おちますよ」と警告します。つぎの見開きページで、子馬は穴に落ちます。「おちた!」 するとお母さんが、「いったでしょ」
 
この2パターンが繰り返されます。「ぶつかりますよ」「つまづきますよ」・・・
 
最後は階段です。「落ちますよって言って」「とびますよ」 そして、子馬は飛びます!「いったでしょ」

すてきな親子です。

いそげ!きゅうきゅうしゃ

竹下文子作/鈴木まもる絵 偕成社 2017年

幼児からと書きましたが、小学生でも十分楽しめる、力のある絵本です。
 
消防署で出番を待つ救急車、出動する救急車。けが人や病人をどのようにして運ぶのかを、クリアで力強い絵と簡潔な文章で、きちんと説明していきます。表現の誠実さが、救急車への信頼を呼び起こすように思います。

けがや急病でうろたえているとき、救急車も隊員さんも、どれほど頼もしく感じられることでしょう。

でも、救急車では運べないような遠方の急病人は、どうすればいいでしょう。大丈夫、ドクターヘリの出動です。ヘリの内部で隊員に励まされる病人の様子、眼下の景色、遥かに見える病院のヘリポート。大人でも、「かっこいい!」って声をあげてしまいます。

何人もの人たちの連携によって、わたしたちは助けられているのです。

最後のページには、救急車の運転席の細かな絵。見ている子どもの目がきら~んと光りました。

もみじのてがみ

きくちちき作 小峰書店 2018年

「てがみだよ
てがみだよ
もみじの
てがみだよ」
 
つぐみがかえでの紅葉を一枚口にくわえて森を飛んできます。ドングリをかじっていたねずみが、その紅葉を受けとって、もっとたくさんの紅葉をさがしに行きます。でも見つけたのは赤いきのこ。松ぼっくりをかじっていたりすが、それを見て、いっしょに紅葉をさがしに行きます。でも、見つけたのは、赤い椿。そこでヒヨドリもいっしょにさがしに行きます。

一羽と二匹は、深緑と灰色の森の中を、赤い物をさがしてどんどん進んでいきます。すると、次つぎに赤い秋の贈り物を発見するのです。そして、とうとう最後に、一面に散り敷いたかえでの葉。森がぱっと明るくなりました。おもわず、おお~っ!と声が上がります。