パセリともみの木

ルドウィッヒ・ベーメルマンス作 ふしみみさを訳 あすなろ書房 2007年

もみの木というと、空に向かって真っすぐに伸びているイメージがあります。クリスマスツリーがそうですね。それだけでなく、木材として家や橋や、家具や、おもちゃとして使われます。
人はもみの木を何十年も何十年も育て、切り出します。
けれども、崖のふちに生えたそのもみの木は、何かの拍子で、ねじ曲がって育って行きました。人びとは役に立たないそのもみの木を、そのまま放っておきました。
曲がったもみの木はどんどん大きくなって、枝は、まるで緑のテントのようになりました。
そのテントの下に一匹のシカが住みつきました。
シカはもみの木に守られながら子どもを育て、年老いていきました。もみの木のまわりに生えているパセリが好きだったので、シカは、パセリと呼ばれました。
あるとき、下の村の猟師が、新しい双眼鏡を手に入れて、あたりを見ているうちに、崖の上のパセリたちを見つけました。猟師は鉄砲を手に、崖を登っていきました。・・・

ストーリーも素朴であたたかくて素敵なのですが、各ページごとに添えられた花のイラストが、いい。一枚一枚切り抜いて壁に貼っておきたくなりました。花の名前を最後のページに書いてあるのも心憎いです。生成りの紙の色もストーリーにぴったりです。

作者ルドウィッヒ・ベーメルマンスは、『げんきなマドレーヌ』の作者です。

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