昔話の語法のお勉強も、ここからが折り返し点です。
ちょっとふりかえってみましょう。
彼岸的な存在に驚きを感じないということは、次元の断絶がないという意味で・・?
一次元性だ!
そうですね。けれど、見方を変えれば、彼岸者が此岸の者と同じ平面上にいるわけですから・・・?
平面性だ!
そうですね。また同時に、彼岸者がそういう超越的な世界から離れている(孤立している)といえます。
孤立性?
そのとおり。
ところで、登場人物について、先祖や子孫のことを語らないのは・・・?
平面性のあらわれだね。
そうです。これも見方を変えれば、人物は先祖や子孫から孤立しているということができます。
孤立性?
そうです。
これまで考えてきた「一次元性」という原理は、「平面性」と深くかかわってきました。
「平面性」というのは、端的にいえば、立体的には語らない、図形的に語るということでしたね。これは、昔話が「抽象的」な原理で成り立っている、抽象的様式を持った文芸であることから生まれるということでした。
ここまで、大丈夫ですね??
その抽象的な様式が最もはっきり表れるのが、「孤立性」です。
そして、この孤立性こそが、昔話の主人公を主人公たらしめるところの重要な原理なのです。
それは、昔話が、人生の在り方を語るものであり、わたしたちはなぜ昔話を聞いて感動するのかという、根本的なことがらと結びついていきます。
さあ、いよいよ佳境に入っていきますよ。あきらめずにお勉強を続けましょう。