蚕の始め

かいこのはじめ

山梨県の昔話

話型名は「蚕由来」といいます。二つの系統があるそうです。
ひとつは「おしらさま」として有名な馬と娘の異類婚姻譚。
もうひとつは、ここに紹介した話で、継子話でもあります。これは、筑波の蚕影神社(こかげじんじゃ)の縁起として知られている話です。
どちらの系統も、風土の伝統や宗教的な色合いが残っていて、悲しい最後になっています。
養蚕は、全国に広がる一大産業でもありましたが、それに従事する農民たちにとっては、厳しい自然の中での一家総出での重労働だったからではないでしょうか。

絹糸がどうやってできるかということとともに、高学年の子どもにつたえたい話です。


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たこつり長兵衛

たこつりちょうべえ

青森県の昔話

主人公の長兵衛は、幸せになるために積極的に何かをしたわけではありません。あえて言えば世の中を見ようと旅に出たことが、人生を変えるきっかけになったことくらいでしょうか。
偶然出会った娘の積極性のおかげで、長兵衛も息子も幸せになります。
家で待っていた息子は、父親よりもっと消極的ですね。
それでも、人生何があるか分からない、幸せを手に入れます。

昔話には、まっとうに幸せを手に入れる者と、訳もなく幸せになる者があります。おもしろいです。

後半は宝化け物のはなしです。


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けものの王さま

けもののおうさま

広島県の昔話

話型としてみると、「古屋の漏り」と「さるのしっぽはなぜ短い」の由来話と「太陽をおがむ話」が組み合わさっています。
語り手はうまくつなげて楽しんでいるように思います。もちろん聞き手も楽しんでいるのでしょう。

「もるんが乗った」「もるんが引っ張る」の言葉は、リズムに乗ってうまく語れば大笑いできますね。


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オオナムチとスクナヒコの国作りの旅

おおなむちとすくなひこのくにづくりのたび

オオナムチは、大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名です。大国主命には、たくさんの別名があります。
スクナヒコは、オオナムチといっしょに国作りをした神さまです。体が小さく、少年のような明るさといたずらっぽさが魅力的です。
けれども、まじめなオオナムチが「国作りはうまくいったかなあ」と自信なさげに尋ねたときの、スクナヒコの答えはとても含蓄があります。

この再話は、古事記、日本書紀、風土記のなかから、スクナヒコが登場する場面だけを取りだしてならべています。


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蛇むかし

へびむかし

山形県

話型名は「蛇婿」。かえるが恩返しをする型です。
よくある蛇婿と違って、この蛇は婿入りしてきます。

蛇は何も悪いことはしていないのに殺されてしまいます。むしろ、妻のために鷹の巣を取りにいくという危険を冒すのですが。異類であるというだけで、許されないのです。

古くは、三輪山伝説にもあるように、蛇は神さまでした。それが時代の流れの中で、こんなふうに変化していくんですね。


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