ヤン のすべての投稿

息子とかみなりさま

むすことかみなりさま

岩手県の昔話

笑い話です。
話型名は「源五郎の天昇り」。
主人公はなすびの大木を登って天に着きますが、なすびではなくて、まめ、そば、桃などの大木を登っていく話もあるそうです。
木登り以外にも、桶屋がたがにはじかれたり、傘屋が傘につかまって風に飛ばされたりして、天に行きます。

大木を登ってが天まで行くというモティーフは、「ジャックと豆の木」「天までとどいた木」こちら⇒など、世界じゅうにありますね。

ここでは天から落ちて、桑の木に引っ掛かりますが、他の話では、海に落ちて竜宮に行ったり、琵琶湖に落ちて源五郎ブナになったり、五重塔に引っかかったりと、さまざまな形に展開しています。

空間を越えて物語が展開する壮大さと、雷が鳴ると桑の枝を軒端にさすという身近な風俗の由来の組み合わせがおもしろいです。

七夕まつりのおはなしでもあります。
たなばたのおはなし会でどうぞ。


下のボタンから共通語のテキストをダウンロードできます。

日常語の語りが聞けます。

黄金のつぼ(天福地福)

岩手県の昔話

おうごんのつぼ

話型名は「天福地福(てんぷくちふく)」。

生来の幸運により富を授かる致富譚。
全国にありますが、特に東北や日本海側に多いようです。
福運のある者と無い者の違いがはっきりと描き分けられています。
正直じいさんと欲ばりじいさんの話になっているものもありますが、じつは、怠け者が福を得る類話もあるのです。もともとは、人物の性格ではなく、あくまでも天の運によるという話なのでしょう。

世界じゅうに分布していて、ATU834「貧しい兄弟の宝」に分類されています。
ストーリーはほぼ日本の話といっしょですが、となりの爺よりも兄弟の対立が多いようです。
黄金の入ったつぼは、運のない者が開けると、死んだねこやヒキガエル、あり、へび、骸骨、くそ等の入ったつぼに変わります。
中国の類話が面白いので、いつか再話して紹介しますね。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りを聞けます。

天道さま金のくさり

てんとうさまかねのくさり

長崎県の昔話

話型名「天道さん金の綱」。
本格昔話の逃竄譚(とうざんたん)のひとつ。「逃竄譚」については《昔話雑学》こちら⇒を見てください。
「兄弟星」とも呼ばれ、「ソバの茎はなぜ赤い」の由来譚が付いたりします。

典型的なストーリーでは、冒頭で、出かけた母親が山姥に食われてしまいます。そして、結末で、天に上った子どもたちが星や月や太陽になります。恐ろしいだけでなく悲劇を感じます。
今回紹介した長崎県の話では、このモティーフ(母親が食われる・子どもが星などになる)がないので、ストーリーとしての明瞭さには欠けますが、「やがて母親が帰って来て、子どもは鎖で降ろしてもらって再会するのだろう」と想像することで、救いが得られます。

青森から沖縄まで全国的に語りつがれています。とくに九州などの南に多いです。
子どもが山姥から逃げる話では「三枚のお札」が有名ですが、「三枚のお札」も全国的に語られていて、おもしろいことに東北や北の地方に多いです。

外国の話では、中国や朝鮮半島に類話があります。こちら⇒「日と月と星」

グリム童話「おおかみと七匹の子やぎ」も同じモティーフが入っていますが、これは動物昔話で、似ているけれど類話ではありませんね。

恐い話なので、中学年くらいから。親しい間柄の子どもなら低学年でも楽しめます。子どもは恐い話が好きですからね。

なお、長崎県のこの伝承では、子どもの性別が示されていません。「子ども」と呼ぶだけで、男の子なのか女の子なのかを示していないのです。どちらなのかは、語り手が決めるか、または聞き手との関係の中で決めるといいと思います。不明のまま語ってもいっこうに差し支えありません。言葉としてはテキスト通りに語って不自然ではないようにしました。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りが聞けます。

一把のわら

青森県の昔話

いちわのわら

難題聟譚のひとつですが、笑い話です。
知恵の働きによって、養子(または婿)になる。
全国に分布していて、と話型名は「一把の藁十六把」とか「藁十六把」「しめて十五把」とか呼ばれるそうです。
庭と鍬とばあさんのしわと門の一把で、十六把。門口の一把を入れないで、十五把。しわを入れないで十二把。というバージョンがあるそうな。

おまけのおはなしにどうぞ。何年生でもいけます。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りが聞けます。

ぶんぶくちゃがま

長野県の昔話

茶釜で湯を沸かしたら、茶釜からたぬきが頭を出し、足を出し、しっぽを出して、逃げて行った。子どもの頃聞いた話のその部分だけが強く残っていました。印章的な昔話です。

話型名「文福茶釜」
狐や狸が茶釜に化けて人間に恩返しをしたり富をくれたりする話です。全国に分布しているそうです。
2つの型があります。

1,狐が、茶釜、女、馬に化ける。3回化けるのです。この型では、冒頭で、狐が子どもにいじめられているのをおじいさんが助けます。その恩返しに、きつねが化けてお金をもたらします。
最後は馬に化けるのですが、馬は疲れて倒れます。おじいさんは、馬のためにお堂を立ててまつります。

2,狸が、1回だけ、茶釜に化けます。今回紹介した話はこの型です。
そんな茶釜がお寺の宝になったという伝説が各地にあるそうです。が、狸になって逃げて行ったんなら、茶釜はお寺にないはすですね、、、

1は、笑いの中にもしみじみと涙をそそりますが、2は、笑い話です。年齢を問わず笑ってくれると思います。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りが聞けます。