おおかみのまつ毛

おおかみのまつげ

岩手県の昔話

話型名は「炭焼長者」

生まれたときに授かった運で人生が決まっていく話は、たくさん残っているようです。ちょっと残念な気もしますが(笑)
主人公は、運命と戦ったりやりすごしたりしながら前向きに生きているように思います。

この話の主人公である福を持っている女性は、夫のために福を失います。けれども、勇気をもって次の一歩を踏み出すことで、ふたたび福を得ます。
やはり、その人がどう生きるかということなのですね。

生まれたときに、神が運を授ける話は、世界じゅうにあるようです。
おはなしひろばの「七つの年の水のじゅみょう」(日本の話)も、生まれたときに神さまから運をもらっていますね。こちら⇒

おおかみに出会って、人と動物を見分ける呪物であるまつ毛をもらうモティーフがおもしろいと思います。これだけでひとつの話型にもなっています。

共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒こちら

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あめわかひこ

御伽草子

15世紀室町時代のお伽草子です。

別名を「七夕」といい、七夕の由来を語ります。
天上の異郷遍歴譚であり、難題嫁、異類婚姻譚でもあります。これらのモティーフは、ヨーロッパの昔話にもあるので、世界共通で本当に古くから好まれてきたストーリーなんだなあと、おどろいてしまいます。

七夕の話は様々あって、特に天人女房が多いのですが、ここは、男が彼岸の存在で、妻が夫を求めて天にのぼるというのが、ちょっと違っておもしろいと思います。
宵の明星や、すい星、スバルなどの星が登場するのも、おもしろいですね。

ぜひ七夕に語ってくださいね。


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幽霊和尚さま

ゆうれいおしょうさま

愛媛県の昔話

お腹に赤ん坊のいる女の人が亡くなり、お墓の中で子どもを産みますが、お乳がないので夜中に飴を買って来て育てるという話。

話型名は「子育て幽霊」

昔話として全国に広がっていますが、各地の伝説としても伝えられています。
そうして生まれた子どもは、地域の人やお寺で育てられて、有名人になったり出世したりします。むしろ、有名な人物は伝説的な出生を持つということでしょうか。
京都では、六道珍皇寺に伝説が残っていて、子育て幽霊飴が売り出されています。

ここで紹介した愛媛県の話は、四国八十八か所霊場巡りの伝統のある地で、お接待の精神が感じられます。見知らぬ巡礼を介抱し、墓に葬ってやる人情の深さが、子どもを残して亡くなる母親の情と相まって、ほろっとさせます。

類話によっては、幽霊が買いに来るのは、飴だけでなく、団子やお菓子、砂糖、餅などがあるそうです。


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屁ひり娘

へひりむすめ

愛媛県の昔話

話型名は「へやの起こり」といって、笑い話です。
嫁を家に連れて帰ったのち、嫁が屁をひるための丈夫な小屋を建てて、「部屋」と名付けたというオチから、この話型名がつきました。
けれども、じっさいには部屋の起こりのしめくくり部分がない話のほうが多いようです。
屁の威力をオーバーに語って楽しむのが眼目の話。

類話によっては、義母、義父、夫は、窓から外へ、大根畑や裏山まで飛ばされます。
実家に帰る途中、柿や梨を落とすだけでなく、重荷を積んで動かない馬や、ときには船をも動かします。

想像がどんどん広がって、語り手も聞き手も大笑いする話です。


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はしぼそがらすの神

はしぼそがらすのかみ

北海道(アイヌ)の昔話

ハシボソガラスというのは、ハシブトガラスより、やや小ぶりのカラスで、くちばしも細いです。ユーラシア大陸の草原に広く分布していますが、日本では、高いビルの多い街中ではハシブトガラス、田畑や原っぱなどでは、ハシボソガラスが巣をつくるそうです。

アイヌの人びとは、動物を神として祭ります。自然と調和し共存して生きているからです。
この物語のように、アイヌの人たちは、捕った獲物を全て自分たちのものにしないで、からすの分、きつねの分、鳥の分として置いて帰るそうです。
さきぼそがらすの神は、どうも他の神より位が下のようですが、主人公「わたし」は丁寧にお祭りをしています。

共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒こちら

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