つれにこいつれにこい

鹿児島県の昔話

アルメニアの「くるぞくるぞ」⇒《外国の昔話》と似た話です。自然の中から聞こえて来た声に応えることで宝を得ます。

主人公は、貧しい兄弟の弟のほうです。極端な端っこの存在ですね。
こんな短い昔話でも、世界に共通の昔話の語法に沿っているのです。

話型名は「取付く引付く」

子どもは恐い話が好きです。これは、恐いけれど、最後は黄金を得る話で、勇気があるとよいことがあるという教訓が付いています。
おまけの恐い話にうってつけです。


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死神

しにがみ

山形県の昔話

ヨーロッパには「死神の名づけ親」の類話が数多く存在します。グリム童話KHM44もそうです。グリムの「死神の名づけ親」とこの日本の昔話「死神」を比較して読んでみるとおもしろいです。

幕末から明治にかけて活躍した名人の落語家三遊亭圓朝の創作落語に「死神」があります。これは、グリム童話を聞いて作ったとか、イタリア歌劇「クリスピーノと死神」をもとにしているとか、異説があるようです。けれども、昔話「死神」は、圓朝落語の「死神」から生まれたことは間違いないでしょう。
こんなふうにして、おもしろい話は、人から人へと伝わって行くのですね。

「みそ買い橋」もヨーロッパ(イギリス)の昔話から生まれたものでしたね。


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おにぎりころころ

広島県の昔話

おにぎりやだんごが転がって、それを追いかけて地下の世界に行くと、そこに、鬼やねずみやお地蔵さまがいて、宝物をさずけてくれる話、たくさんありますね。
隣のおじいさんがまねをして失敗する隣の爺型の話になっていることが多いようです。
その中でも、地下の世界にお地蔵さまがいるのが、「地蔵浄土」と呼ばれる話型です。

地蔵は、あちらの世界とこちらの世界の境界にいて、人を救ってくれると信じられている仏で、庶民にとって身近な存在です。そのため、昔話にはよく登場する彼岸者です。

ここでは、お地蔵さまがおしりをふって合図しますね。
隣のおじいさんは、それがおかしくて笑ってしまって、失敗します。
この話型では、「笑い」がよく登場します。

結末で、隣のおじいさんが罰せられます。
ここでは、鬼が金棒で突き刺して地獄へ連れて行くのですが、中身をぬいて語っているので、残虐な感じはありません。まるで団子をくしでさすように、からっと語るといいです。

幼児から楽しめます。


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稲荷山

いなりやま

長崎県の昔話

無欲のおじいさんが、無欲であったために幸運を手に入れるおはなし。

「天福地福」の類話です。
ただ、ここには夢のモティーフがありません。

自分に授かった福ならわざわざ取りに行かなくてもむこうから来るという生き方に共感します。
でも、なかなかそのようには生きられませんね。


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千両箱

せんりょうばこ

新潟県の昔話

お人好しのおじいさんおばあさんが福を授かる話。

昔話には、ただ楽しませるだけでなくて、人に何かを教える効果というか目的もあります。この話を語ってもらって、聞いた人が「じゃあ千両箱を手に入れるためにお人好しになろう」と思ったとしたら、千両箱は手に入るかな?
いやいや、人をだましたつもりが、自分の身に不幸が降りかかるものだということを教えているのでしょうか。

まあ単純に笑い話として楽しむのがいいのでしょうね。


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