笠地蔵

かさじぞう

山形の昔話

善良なおじいさんが、地蔵に笠をかぶせて、お礼をもらう話。全国に分布します。伝説にもあるそうです。
多くが、大晦日の話になっていて、お地蔵さまは雪をかぶっています。「笠地蔵」というと大晦日の雪。それはそれで季節感があっていいのですが、この山形の話は、雪ではなくて雨に濡れています。だから季節を問わずに語れます。
かさがひとつ足りないから、ふんどしをかぶせた、でも失礼だったかもしれない、と心配するおじいさんの心根の良さが好きです。


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ほたる狩りの大入道

ほたるがりのおおにゅうどう

京都の昔話

現代の民話です。かつては、このような怪談話はどこにでも転がっていました。夜道に大入道が出るという世間話を、大人も子どもも信じていました。
ところで、みなさんは、ほたる狩りをしたことがありますか。ちょうど6月の終わりから7月にかけては、日がくれるのがおそく、以前は、子どもたちだけで遅い時間でも外で遊んだものです。田んぼのなかをたくさんのほたるが舞う様子は幻想的ですが、子どもにとっては、何匹とれるかを競う思いがはやります。わたしは、ネギの中にとったほたるを入れて持ってかえりました。虫かごなんか不要な時代でした。


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うりひめの話

うりひめのはなし

長野の昔話

話型名は「瓜子姫」。全国に分布しています。子どもに語ると、冒頭で「ももたろうと同じだ」と声が上がります。どちらも異常誕生に分類されています。
瓜子姫は大きくふたつの型に分けられます。うりひめが殺されてしまうものと、この話のように結婚するものとです。前者はちょっと残酷な描写があります。柳田国男は、後者が古い形で、もともとは外国から入ってきたのではないかといっています。ATU番号は408「3つのオレンジ」。そういえば、あまんじゃくは、偽の花嫁ですよね。
あまんじゃくが殺されて、その血でソバとカヤの根元が赤くなったという結末もあります。
この話は、瓜子姫が幸せになることと、あまんじゃくが罰せられないことがいいなと思って再話しました。

共通語テキストは、『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。⇒書籍案内

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竹の子童子

たけのこどうじ

熊本の昔話

私のすむ地方は竹の子の産地で、竹やぶはとても身近にあります。竹やぶに入っていくと、ほんとうにこんなことがあってもおかしくないという気持ちになります。
竹の中から天人が出てくる、というと、日本最古の物語『竹取物語』を思い出しますね。竹の子童子は天人ではありますが、「桃太郎」や「瓜姫」と同じく、昔話の話型では「異常誕生」に分類されています。
ところで、三ちゃんは、願いをまだひとつしかかなえてもらっていません。続きが知りたいですね。日本の昔話は、ヨーロッパなどの魔法物語と違って、こんなふうに短いものが多いような気がします。なぜでしょうね。
音声は2年生です。

共通語テキストは、『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。⇒書籍案内

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唐のカンニュウ卿

からのかんにゅうきょう

新潟の昔話

怖い話です。この虫は何を意味しているのかと、思わず考え込んでしまいす。
子どもが訳もなくむずかるのは、大人にとって本当に難儀なものです。それを収めてくれる虫は、ありがたい。でも、鉄を食べるこの虫の正体は分かりません。どんどん成長して牛ほどになります。その不気味さ。手に負えなくなって、とうとう蹈鞴で溶かそうとする。その人間の行為も不気味です。そしてその行為によってカンニュウ卿は自滅します。
なんとなく原子力を予言しているような感じがします。原話の出典の『佐渡島昔話集』は1942年刊です。


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