おばすて山

おばすてやま

奈良の昔話

「うばすてやま」とも。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載せたものを共通語で再話しなおしました。
この話型の話は全国に伝わっています。年寄りを山に捨てたという昔の風習がもとになっているそうです。
いくつかのヴァリエーションがあって、ここに載せた「おばすて山」は、枝折り型とよばれます。
『子どもと家庭のための奈良の民話1』には、この話型の「蟻通し明神」も載せています。
「蟻通し明神」は、東吉野村の蟻通神社の由来として語り伝えられている伝説です。お殿様が年寄りを山に捨てろという命令を出します。ところが、隣の国から難題がふっかけられ、答えられなければ攻め入ると脅されます。そのとき正解を出したのが、捨てられずにかくまわれていたおじいさんでした。それからは、年寄りを山に捨てなくなったというお話。難題型と呼ばれます。
他にこんなのがあります。父親が幼いわが子といっしょに、老父をもっこで担いで山に捨てに行きます。老父を置いて帰ろうとすると、子どもが、もっこを持って帰ろうとします。こんど父親を捨てにくるときに要るからと。ドキッとしますね。もっこ型です。まったく同じ話が朝鮮半島にあります。「親すて山」として「外国の昔話」に載せました。
それから、老婆致富型。妻にそそのかされた夫が老母を山に捨て、小屋に火をかけます。老母は逃げ、鬼の子から小槌をもらいます。小槌を振って、老母は女殿様になります。それを知った嫁が夫にあんなふうになりたいといい、小屋で焼け死ぬというお話。これも、ものすごいですね。
柳田国男によると、ここに載せた枝折り型が最も古いそうです。

下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りを聞くことができます。

⇒ 本格昔話一覧へ

めしを食わないよめさん

めしをくわないよめさん

山形の昔話

端午の節句にちなんで載せました。飯を食わない嫁がほしいなんて、なんてことでしょうと、子どものころ、わたし、気を悪くしていました。追いかけられて当然、ばちがあたったんだって思っていましたよ。
この類話は全国に分布しています。
結末が、よもぎと菖蒲のおかげで難を逃れるものと、夜の蜘蛛は殺さないといけないという俗信の根拠になっているものとがあります。後者は、女の正体が蜘蛛で、夜に女が蜘蛛になって侵入してきたのをやっつける話です。
女の正体は、山姥や鬼であることも多いです。ここで思い出していただきたいのは、山姥は走る、ということです。この話でもブーンブーンと追いかけてきますね。
追いかける・逃げるというモティーフを持った話を逃竄譚(とうざんたん)と呼びます。うーん、つづきは昔話雑学でどうぞ!

共通語テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

日常語での語りが聞けます

⇒ 本格昔話一覧へ

みいさん

奈良の昔話

生まれた子どもが蛇だったというお話はあちこちにあります。
蛇は神としてまつられることもよくあります。ここの母親は蛇は龍のお使いだといっていますね。だから大切にしなくてはならない。
蛇にいたずらをして大変な目にあった話もあります。
蛇は海に千年、山に千年、川に千年修行すると龍になって昇天するという言い伝えもあります。
龍神は雨をつかさどる水神です。
ヨーロッパの昔話では竜退治の話がたくさんありますが、日本の龍は神さまですから退治されないのでしょうか。
余談ですが、ヨーロッパの竜退治の話は、日本では「猿神退治」という話型で全国にたくさんあります。

下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語での語りが聞けます

⇒ 本格昔話一覧へ

おんちょろちょろあなのぞき

新潟の昔話

話型名 「 ねずみ経 」。日本じゅうあちこちに残っています。
短いし、お経の唱え言葉がおもしろいので幼い子どもでも楽しめます。「 お経 」 といっても小さい子は知りませんが、「 おおんちょろちょろ~ 」 がおもしろくて聞きます。でも、偶然が重なってよい結果になるおもしろさは、小学生のほうがよくわかるでしょう。

共通語テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

日常語の語りが聞けます。

⇒ おかしな話一覧へ

やまんばと桶屋

やまんばとおけや

岩手県の昔話

山の奥には魑魅魍魎が棲んでいます。ときどき、里山に下りてきて、そこで働く人間と遭遇します。このやまんばもそうです。「 さとり 」 の化け物として語られている地方もあります。
これも 「 おんちょろちょろあなのぞき 」 と同じく、偶然によって助けられる話です。でも、雰囲気はまるで異なりますね。

共通語テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

日常語での語りを聞くことができます。

⇒ 本格昔話一覧へ