竹の子童子

たけのこどうじ

熊本の昔話

私のすむ地方は竹の子の産地で、竹やぶはとても身近にあります。竹やぶに入っていくと、ほんとうにこんなことがあってもおかしくないという気持ちになります。
竹の中から天人が出てくる、というと、日本最古の物語『竹取物語』を思い出しますね。竹の子童子は天人ではありますが、「桃太郎」や「瓜姫」と同じく、昔話の話型では「異常誕生」に分類されています。
ところで、三ちゃんは、願いをまだひとつしかかなえてもらっていません。続きが知りたいですね。日本の昔話は、ヨーロッパなどの魔法物語と違って、こんなふうに短いものが多いような気がします。なぜでしょうね。
音声は2年生です。

共通語テキストは、『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。⇒書籍案内

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唐のカンニュウ卿

からのかんにゅうきょう

新潟の昔話

怖い話です。この虫は何を意味しているのかと、思わず考え込んでしまいす。
子どもが訳もなくむずかるのは、大人にとって本当に難儀なものです。それを収めてくれる虫は、ありがたい。でも、鉄を食べるこの虫の正体は分かりません。どんどん成長して牛ほどになります。その不気味さ。手に負えなくなって、とうとう蹈鞴で溶かそうとする。その人間の行為も不気味です。そしてその行為によってカンニュウ卿は自滅します。
なんとなく原子力を予言しているような感じがします。原話の出典の『佐渡島昔話集』は1942年刊です。


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だんまりくらべ

和歌山の昔話

話型名は「無言くらべ」。日本じゅうで語られていたようです。
それどころか、世界じゅうに残っているようです。ATU1351「沈黙の賭け」、夫婦に関する笑い話のひとつです。
日本では、たいていもらったおもちでだんまりくらべをしますが、外国では、先にしゃべったほうがお皿洗いをするとか、賭けるものにお国がらが出るようです。
音声は3年生のライブ。自分たちもだんまりくらべをしようって、盛りあがっていました。何を賭けるんでしょうね(笑)

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絵姿女房

えすがたにょうぼう

新潟の昔話

話型名は「絵姿女房」。日本各地に残っている昔話です。前半はどれもよく似ているのですが、後半が2種類に分かれます。
ひとつは、物売り型。若者が物売りに変装して、妻をさらった殿さまのところへ行き、妻をとり返します。物売りの売り声に妻が笑うので、殿さまは物売りと着物を取り替えます。殿さまは屋敷を追いだされ、若者が殿さまになって、めでたしめでたし。風刺的ですね。柿売り、桃売り、ほうろく売りなどのパターンがあります。
もうひとつが、この難題型です。妻が才色兼備。妻の機知で若者は救われます。ここにのせた新潟の話は、最後、殿さまが「まいった!」という感じであきらめるのが好きで再話しました。
世界的にはATU465「美しい妻のために、迫害された男」という話型です。世界じゅうに分布していますが、妻の絵姿で王さまが横恋慕するというモティーフのないものもたくさんあるようです。


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さるの顔はなぜ赤い

さるのかおはなぜあかい

大阪の昔話

「なぜ話」のひとつです。なぜ話は、物やことがらの由来を語る話。たとえば、「そばのくきはなぜ赤いのか」「くらげにはなぜ骨がないのか」「なぜ猫はねずみを追いかけるのか」などなど、いくらでも思い出せますね。なぜ話は幼い子どもが喜ぶようです。
外国のなぜ話をさがすと、「かめの甲羅にはなぜひびが入っているのか」「くまのしっぽはなぜ短いか」「なぜ海は塩辛いか」など、日本と共通する話が見つかります。でも、「なぜ天国にはこれほど聖職者が少ないか」とか、「なぜ髪の毛はひげよりも先に灰色になるのか」などは日本ではきいたことがない(笑)、興味津々ですね。
原話の著者の岡白駒(おかはっく)は江戸時代元禄生まれの儒学者で、兵庫県西宮でお医者さんをしていましたが、のちの京都に移ります。西田維則(にしだいそく)は白駒のお弟子さん。滋賀県の出身です。
『奇談一生』は、書かれてから百年以上後に正式に出版され、それは今も読むことができます。出版したのは浪速の本屋、赤志忠雅堂です。それで、出所を大阪にしました。


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