ねむり虫の次郎

ねむりむしのじろう

沖縄の昔話

話型名「隣の寝太郎」。寝てばかりいる怠け者が、あるとき一念発起して知恵を使って長者の婿になる話群を広く「隣の寝太郎」といいます。
ここに紹介した寝太郎は、知恵といっても、天帝の使いだと偽っているわけで、罰が当たらないのかなと思ってしまいます。が、なんのなんの、大成功。そして、ほんとうに働き者に変身するのですね。若者の可能性を信じよというメッセージかな。それとも、貧しい庶民の夢。または庶民の生き抜こうというエネルギー。いろいろ考えさせられます。でも、あんまりまじめに語る話ではなくって、笑い話として語るといいかなと思います。笑いの中に真実ありって感じで。
「隣の寝太郎」は日本全国に分布しています。『遺老説伝』は、十八世紀に編纂された沖縄の歴史書です。もとは漢文の写本(手書き)ですが、それを書き下し文にしたもの(1935年刊)から再話しました。
全国的には、しらさぎではなくて鳩にちょうちんをつけてとばす話が多いです。寝太郎が登る木がガジュマルというのも沖縄らしいですね。

共通語テキストは、『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』に掲載しています。⇒書籍案内

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笠地蔵

かさじぞう

山形の昔話

善良なおじいさんが、地蔵に笠をかぶせて、お礼をもらう話。全国に分布します。伝説にもあるそうです。
多くが、大晦日の話になっていて、お地蔵さまは雪をかぶっています。「笠地蔵」というと大晦日の雪。それはそれで季節感があっていいのですが、この山形の話は、雪ではなくて雨に濡れています。だから季節を問わずに語れます。
かさがひとつ足りないから、ふんどしをかぶせた、でも失礼だったかもしれない、と心配するおじいさんの心根の良さが好きです。


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ほたる狩りの大入道

ほたるがりのおおにゅうどう

京都の昔話

現代の民話です。かつては、このような怪談話はどこにでも転がっていました。夜道に大入道が出るという世間話を、大人も子どもも信じていました。
ところで、みなさんは、ほたる狩りをしたことがありますか。ちょうど6月の終わりから7月にかけては、日がくれるのがおそく、以前は、子どもたちだけで遅い時間でも外で遊んだものです。田んぼのなかをたくさんのほたるが舞う様子は幻想的ですが、子どもにとっては、何匹とれるかを競う思いがはやります。わたしは、ネギの中にとったほたるを入れて持ってかえりました。虫かごなんか不要な時代でした。


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うりひめの話

うりひめのはなし

長野の昔話

話型名は「瓜子姫」。全国に分布しています。子どもに語ると、冒頭で「ももたろうと同じだ」と声が上がります。どちらも異常誕生に分類されています。
瓜子姫は大きくふたつの型に分けられます。うりひめが殺されてしまうものと、この話のように結婚するものとです。前者はちょっと残酷な描写があります。柳田国男は、後者が古い形で、もともとは外国から入ってきたのではないかといっています。ATU番号は408「3つのオレンジ」。そういえば、あまんじゃくは、偽の花嫁ですよね。
あまんじゃくが殺されて、その血でソバとカヤの根元が赤くなったという結末もあります。
この話は、瓜子姫が幸せになることと、あまんじゃくが罰せられないことがいいなと思って再話しました。

共通語テキストは、『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。⇒書籍案内

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竹の子童子

たけのこどうじ

熊本の昔話

私のすむ地方は竹の子の産地で、竹やぶはとても身近にあります。竹やぶに入っていくと、ほんとうにこんなことがあってもおかしくないという気持ちになります。
竹の中から天人が出てくる、というと、日本最古の物語『竹取物語』を思い出しますね。竹の子童子は天人ではありますが、「桃太郎」や「瓜姫」と同じく、昔話の話型では「異常誕生」に分類されています。
ところで、三ちゃんは、願いをまだひとつしかかなえてもらっていません。続きが知りたいですね。日本の昔話は、ヨーロッパなどの魔法物語と違って、こんなふうに短いものが多いような気がします。なぜでしょうね。
音声は2年生です。

共通語テキストは、『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。⇒書籍案内

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