天狗のまな板石

てんぐのまないたいし

奈良の伝説

奈良県東吉野村に伝わる伝説です。
語ったおじいさんは、「 いまどき、天狗が出るやなんて、そんなことはあらへんけどな 」 といいながらも、実際にその石があることを証拠として、「 まんざら嘘でもないと思う 」 とおっしゃっています。
マックス・リュティは、昔話と伝説の違いを説明して、「 伝説は信じられんことを求める 」といっていますが、その一例だと思います。
ひょんなことから異界(彼岸)に行ってきた昔話はたくさんあります。カテゴリーで探してみてください。
ただ、伝説「 天狗のまな板石 」では、彼岸は、はるか遠くにあるのではなくて、ふだんから人が行ききする山、地域の生活の場がいきなり彼岸となるのです。天狗はすぐ裏の山に棲んでいます。これも伝説の特徴です。昔話なら、彼岸ははるか遠くにあります( 昔話の語法参照 )。
裏の山に天狗がすんでいるということを信じられなくなった現代の大人。寂しさを感じてしまいます。

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くまのしっぽはなぜみじかい

大阪の昔話

話型名 「 しっぽのつり 」 の類話は日本だけでなく世界じゅうに分布しています。
氷の穴から尻尾を下ろして魚釣りをする、尻尾が凍りついて取れなくなる、という話です。身動きできなくなって、村人にこっぴどくやられることが多いです。たいていは、動物のどちらかが悪がしこかったり、またはいつも乱暴な相手を知恵を使って懲らしめる話になっています。
大阪の和泉地方に残っていたこの話は、凍りついた尻尾が切れて短くなったという由来話になっています。そして、熊も狐も何の駆け引きもしていません。のほほんとした熊になんとなく親切な狐。どこにでもいる私たちのような二匹に心なごみます。
音声は学童保育でのおはなし会。この日は人数が少なく1、2年生のみ。わたしものほほんと語っています。ー笑

共通語テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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おばすて山

おばすてやま

奈良の昔話

「うばすてやま」とも。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載せたものを共通語で再話しなおしました。
この話型の話は全国に伝わっています。年寄りを山に捨てたという昔の風習がもとになっているそうです。
いくつかのヴァリエーションがあって、ここに載せた「おばすて山」は、枝折り型とよばれます。
『子どもと家庭のための奈良の民話1』には、この話型の「蟻通し明神」も載せています。
「蟻通し明神」は、東吉野村の蟻通神社の由来として語り伝えられている伝説です。お殿様が年寄りを山に捨てろという命令を出します。ところが、隣の国から難題がふっかけられ、答えられなければ攻め入ると脅されます。そのとき正解を出したのが、捨てられずにかくまわれていたおじいさんでした。それからは、年寄りを山に捨てなくなったというお話。難題型と呼ばれます。
他にこんなのがあります。父親が幼いわが子といっしょに、老父をもっこで担いで山に捨てに行きます。老父を置いて帰ろうとすると、子どもが、もっこを持って帰ろうとします。こんど父親を捨てにくるときに要るからと。ドキッとしますね。もっこ型です。まったく同じ話が朝鮮半島にあります。「親すて山」として「外国の昔話」に載せました。
それから、老婆致富型。妻にそそのかされた夫が老母を山に捨て、小屋に火をかけます。老母は逃げ、鬼の子から小槌をもらいます。小槌を振って、老母は女殿様になります。それを知った嫁が夫にあんなふうになりたいといい、小屋で焼け死ぬというお話。これも、ものすごいですね。
柳田国男によると、ここに載せた枝折り型が最も古いそうです。

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めしを食わないよめさん

めしをくわないよめさん

山形の昔話

端午の節句にちなんで載せました。飯を食わない嫁がほしいなんて、なんてことでしょうと、子どものころ、わたし、気を悪くしていました。追いかけられて当然、ばちがあたったんだって思っていましたよ。
この類話は全国に分布しています。
結末が、よもぎと菖蒲のおかげで難を逃れるものと、夜の蜘蛛は殺さないといけないという俗信の根拠になっているものとがあります。後者は、女の正体が蜘蛛で、夜に女が蜘蛛になって侵入してきたのをやっつける話です。
女の正体は、山姥や鬼であることも多いです。ここで思い出していただきたいのは、山姥は走る、ということです。この話でもブーンブーンと追いかけてきますね。
追いかける・逃げるというモティーフを持った話を逃竄譚(とうざんたん)と呼びます。うーん、つづきは昔話雑学でどうぞ!

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みいさん

奈良の昔話

生まれた子どもが蛇だったというお話はあちこちにあります。
蛇は神としてまつられることもよくあります。ここの母親は蛇は龍のお使いだといっていますね。だから大切にしなくてはならない。
蛇にいたずらをして大変な目にあった話もあります。
蛇は海に千年、山に千年、川に千年修行すると龍になって昇天するという言い伝えもあります。
龍神は雨をつかさどる水神です。
ヨーロッパの昔話では竜退治の話がたくさんありますが、日本の龍は神さまですから退治されないのでしょうか。
余談ですが、ヨーロッパの竜退治の話は、日本では「猿神退治」という話型で全国にたくさんあります。

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