さかべっとうの浄土

さかべっとうのじょうど

新潟の昔話

さかべっとうとは、白い蝶ともカゲロウともトビゲラとも言われている、羽のある昆虫。命の短いはかない羽虫で、それが群れをなして川をさかのぼるそうです。昔話では、龍宮城とか山の中とかの異界に出かけて行って、三日たって帰ってきたと思ったら、三十年、三百年たっていた、という話はよくありますね。その逆のバージョンです。
中国唐の時代の故事に 「 邯鄲 (かんたん) の夢 」 というのがあります。立身出世したいと、故郷を離れた若者が、仙人から望みのかなう枕をもらう。その枕で寝るとたちまち出世して、結婚して、それからは落ちぶれたり救われたりしながら紆余曲折の人生をへて、最後は幸せな余生を送り、天寿を全 うする。と思いきや、ふと目を覚ますと、今までのことはみんな夢だった。人生とはそんなもの、諸行無常、という話です。この中国の故事と同じテーマです。はかない羽虫の浄土に行くというイメージにひかれ、語ってみたいと思いました。

共通語テキストは『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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地獄に行った吉兵衛さん

じごくにいったきちべえさん

滋賀の昔話

地獄に行って、閻魔さんを手玉に取って帰ってくる話。
昔話として、各地に様々な類話があります。落語で有名なのは 「 地獄八景亡者の戯れ 」。落語をもとに書かれた絵本 『 じごくのそうべえ 』 も人気がありますね。
吉兵衛さんの気楽な生き方、うらやましいです (笑) 。鬼たちも、あんまり恐くないし。閻魔さんが鬼と引きつれて地獄を回るところなんか、まるでお医者さまの回診!ファンタジーの面目躍如といったところです。

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くらいくらい

京都の昔話

入れ子細工の話です。いろいろなバージョンがあるようですが、わたしは、かつて所属していたおはなしサークルの今は亡き仲間から聞き伝えたものを語っています。「 くら~い くら~い 」 と語り始めるので、子どもたちは恐い話だとすぐに分かって乗ってきます。
音声は5歳児に語ったときのもの。入れ子の面積がせまくなるにつれて、笑いがクレッシェンドします。こわいことを期待して、はずされるので、笑うのです。緊張と緩和。からだを寄せ合って、いっしょに怖がって、いっしょに笑う。まさに、愛と信頼の語りの場です。この話を伝えてくださった仲間に心から感謝しています。
この話、一回やると、次回も、またその次の回も、リクエストされます。何回やっても同じように恐がって、同じようにびっくりして、同じように喜びます。ときには、道で出あっても、「 くら~い、くら~い、やって ! 」って言われます ( 笑 )。でもまあ、おまけの話です。
ジャンピング・ストーリーなので、急に大きな音や声が聞こえると心身に変調をきたす子が、いないかどうか、確かめてから語ってくださいね。

共通語テキストは『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』に掲載しています。⇒書籍案内

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こんな目かあ

こんなめかあ

奈良の昔話

これもどこにでもあるこわくて面白い話。「 こんな顔 」 という話型です。ちょっとオーバーにやると楽しいですよ。
いまは、炭焼きという仕事もほとんどなくなってしまいましたが、かつては、山の仕事で生計をたてる人たちがいました。自然が日常的にそばにあった時代、自然の中で暮らしていた時代には、人間の知では理解できない現象が起こったようです。魑魅魍魎ーちみもうりょ う。奈良は山国ですから、山での怪談が結構残っています。


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豆の大木

まめのたいぼく

新潟の昔話

おじいさんとおばあさんが、豆を植えるとか食べるとか言ってけんかをするところから、話は始まります。
いかにも日本の昔話ですね。このパターンってよくあります。「 豆さんころがれ 」 も同じです。
ここでは、天上の世界で出会うのは、雷さま。で、雨を降らせる手伝いをするのです。
話型でいうと、「 傘屋の天のぼり 」。「 鴨とり権兵衛 」 「 源五郎 」 なんかとおなじです。


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