むかでとなめくじ

和歌山県の昔話

強い動物と弱い動物が争って弱い動物が勝つというパターンの動物競争譚は、世界じゅうにあります。この「むかでとなめくじ」は、足の速さの競走です。
ただ、興味は、足の速さにあるというよりも、むかでの足の数の多さに興味が向いています。「むかでの使い」⇒こちら「むかでの医者むかえ」⇒こちらも同じ趣向ですね。

それにしても、むかでやなめくじが日常的に見られる環境も減ってきているので、本来幼い子ども向けの話なのに、中学年以上でないと面白みが分からないかもしれません。江戸やわらじも、小さい子には分かりませんね。
どちらにしても、おまけの話です。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りが聞けます。


⇒動物たちの話一覧へ

豆と炭とわら

まめとすみとわら

岩手県の昔話

ソラ豆や大豆などに黒い筋ができた由来を、擬人化して語る話です。

ここでは、わらが燃えて、炭といっしょに流れていくのを見て、豆が大笑いします。でも、話によっては、豆は、笑うんじゃなくて、大泣きします。それで口が裂けてしまいます。

この話は、世界じゅうにあるようです。
ATU295「豆と藁と炭」
どうやって伝わっていったんでしょうね。

グリム童話にもKHM「わらと炭とそら豆」があります。そら豆は、やっぱり笑います。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りが聞けます。


⇒動物たちの話一覧へ

ありがたい

秋田県の昔話

人を食ったような話ですね。
ただのシャレなのですが、アリとハチの表情が目に見えるようで、笑ってしまいます。

日常会話の中で、こんな小話がひょいと出てくる場に魅力を感じます。
どうぞ、ご自分の土地の言葉で語ってみてください。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りが聞けます。



⇒動物たちの話一覧

かっぱの婿さん

かっぱのむこさん

鹿児島県の昔話

話型名を「河童婿入」といいます。異類婚姻譚です。
異類はここでは河童(かっぱ)ですが、全く同じ話で、かっぱではなく、蛇の話がありますね。
かっぱは、架空の妖怪で、もともとは水の神さまだったようです。水神なら、田んぼに水を入れるのはお手のものです。

この話で気に入っているのは、末の娘の強さです。父親も情けないですが、かっぱも娘に手玉に取られています。
昭和初年の伝承ですが、そのころの女性の強さを感じます。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りが聞けます。


⇒本格昔話一覧へ

国引き

くにひき

出雲国風土記

日本の神話といえば、『古事記』『日本書紀』だけを考えてしまいがちです。けれども、各地の地理や産業などを国ごとにまとめた『風土記』にも、各地に伝わる神話が伝えられています。
『風土記』は、散逸しているものが多いのですが、わずかに残った記録から、興味深い物語をひろうことができます。

ところで、日本という国がどうやってできたかという国生み神話がります。
『古事記』『日本書紀』では、イザナキとイザナミが天上の天の浮橋に立って下界の海の中を鉾(ほこ)でかきまぜて、オノコロ島を作ったとあります。そこからつぎつぎと国を生んでいきました。
けれども、出雲の国は、ちょっと様子が違っています。イザナキ・イザナミではなく、八束水臣津野命(やつかみずおみつののみこと)という神さまが、ひとりで、あちこちから土地を引っ張ってきてぬいあわせて作ったというのです。

『古事記』『日本書紀』はいわば垂直思考なのにたいして、『出雲国風土記』は水平思考。神さまが上から見下ろして作ったのではない、民衆と同じ地平で作ったというのが興味深いです。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りが聞けます。


⇒神話・伝説・古典一覧へ