秋田県の昔話
発端句「ざっとむかしがあるけぢょんなあー」と結末句「トンピンパラリノプー」がきちんと額縁になっています。
屁の力によって富や幸せを得る「屁ひり爺」の話はたくさんありますが、この「やまやまのへっぴりじい」は、そのなかでも最も単純なストーリーです。お殿さまも出てこないし屁の音も単純です。そして、単純だからこその面白さがあります。
ほうびをくれるのは、お殿さまではなくて、どこからか聞こえてくる声の主です。おそらく、奥山に住む魑魅魍魎(ちみもうりょう)か、もしくは山の神かもしれません。どちらにしろ人智をはなれた自然の声です。
欲ばりじいさんは、化け物に脅かされて、腰をぬかすだけで、食われたり殺されたりするわけでもありません。そして、人まねはするなという教訓が付いています。
これらを総合して考えれば、これは幼い子が喜ぶ笑い話として語られたのでしょう。
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