くまがみのむすめ
北海道(アイヌ)の昔話
アイヌの昔話の多くが一人称で語られます。
(ちなみに、ペナンぺ話などの隣の爺型の話や和人から伝わった話は三人称です。)
この「くま神の娘」も一人称です。しかも、初めは老女が語り、次は犬、最後は男が語るという形になっています。
「アイヌの語り手は常に自ら昔話の登場人物になりかわって語り、しかも時には神になりかわって語るのである。聴衆の前で、語る行為のうちに、人である語り手は神と同一化している。」
と、原話の解説にあります(千本英史)。
ただ、わたしたちが語るとき、どこまでなりかわることができるか、または、なりかわっていいものかは、疑義のあるところだと思います。
わたしたちは、あくまでも媒体なので、過度の感情移入は慎まなければならない。ひとりの語り手が、いかにも犬になったり男になったりと、演じるのは不自然だと思います。
ただ、一人称であるための臨場感というか、リアリティは生まれます。それをうまく語りに生かしたいです。
さて、内容。
人と動物と神がゆるやかにつながっているアイヌの世界観を楽しみましょう。
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