ねむりむしのじろう
沖縄の昔話
話型名「隣の寝太郎」。寝てばかりいる怠け者が、あるとき一念発起して知恵を使って長者の婿になる話群を広く「隣の寝太郎」といいます。
ここに紹介した寝太郎は、知恵といっても、天帝の使いだと偽っているわけで、罰が当たらないのかなと思ってしまいます。が、なんのなんの、大成功。そして、ほんとうに働き者に変身するのですね。若者の可能性を信じよというメッセージかな。それとも、貧しい庶民の夢。または庶民の生き抜こうというエネルギー。いろいろ考えさせられます。でも、あんまりまじめに語る話ではなくって、笑い話として語るといいかなと思います。笑いの中に真実ありって感じで。
「隣の寝太郎」は日本全国に分布しています。『遺老説伝』は、十八世紀に編纂された沖縄の歴史書です。もとは漢文の写本(手書き)ですが、それを書き下し文にしたもの(1935年刊)から再話しました。
全国的には、しらさぎではなくて鳩にちょうちんをつけてとばす話が多いです。寝太郎が登る木がガジュマルというのも沖縄らしいですね。
共通語テキストは、『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』に掲載しています。⇒書籍案内