おゆきといちご
山梨県の昔話
まま母にいいつけられて雪の山へいちごをつみに行く娘。雪の中でこごえそうになったとき、おじいさんの家に導かれます。いろりを囲んで、十二の月の精たちが座っています。スロバキア民話の「十ニの月のおくりもの」を思い出しますね。
このお雪の話は、日本ではここでしか語られていないそうです。昭和11年刊の『続甲斐昔話集』所収です。山梨県の郷土史家土橋里木氏が聞き書きされました。この話を土橋氏に語った人は、もしかしたらヨーロッパの「十二の月のおくりもの」をどこかで聞くか読むかして、語りのレパートリーにしたのでしょうか。
情景描写が少なく、ストーリーは短いですが、きちっとした継子話(こちら⇒)になっています。そして、ヨーロッパの伝承では森の中のたき火ですが、ここでは、山の一軒家のいろりになっています。日本らしい換骨奪胎といえます。
ATU480「親切な少女と不親切な少女」。グリム童話の「ホレばあさん」の類話です。
下のボタンからテキストをダウンロードできます。