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山の神と童子

やまのかみとどうじ

鹿児島県の昔話

天竺へお参りする途中、出会った人たちから、ついでにおがんできてくれと、それぞれ、課題を託されます。主人公の男の子は、快く引き受けて、旅の帰りに答えを教えてやります。
これは、日本だけでなく、世界じゅうにある話型です。
ATU460「神のところへの旅」

山の神さまは、女のこともあるし、男のこともあります。ここでは、白髪のおじいさんですね。そして、樫の木の精でもあります。素朴な自然信仰の名残です。


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炭焼きの子

すみやきのこ

鹿児島県の昔話

運命譚です。

王の後継ぎなるという運命の元に生まれ、王がそれを阻もうとさまざまな行動に出るのですが、けっきょくそれが裏目に出て、運命の定め通りになる。
これは、ヨーロッパの神話にもある古い話だということです。
グリム童話の「三本の金髪を持った悪魔」も同類の話ですね。
日本のこの「炭焼きの子」は、とてもおだやかに話が進みます。

3年生以上、高学年のおまけのはなしでもいいと思います。


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阿波の清左衛門と京の古金屋伝兵衛

あわのせいざえもんときょうのふるかねやでんべえ

新潟県の昔話

阿波の国は現在の徳島県のあたりです。
清左衛門は、売れない仏壇を背負って、はるばる京の都までやってきます。京なら、お仏壇が売れると考えたのです。距離感と文化の差が何気なく表れていておもしろいです。
そして、この話が語られたのが新潟県というのも興味深いです。

古金屋というのは、主に金属類をあつかう古物商のようです。

清左衛門も伝兵衛も、平凡な庶民ですが、ふたりとも誠実に生きていて、それをお殿さまが感心してほうびをあたえるのも気持ちいいです。
それにしても、ふしぎな鉢ですね。

中学生以上。


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いうなの地蔵

いうなのじぞう

福井県の昔話

お地蔵さんの力は恐ろしいですね。悪いことはできません。

この話は、日本の昔話では「いうなの地蔵」という話型名ですが、世界じゅうに類話があります。国際話型カタログ(ATU)では960「太陽がすべてを明るみにだす」に分類されています。とっても古くからある昔話です。

同じ話型では、「むみょうの橋」⇒こちら、「かがやくお日さまが明るみにだす」⇒こちら、があります。比べてみてください。

中学年以上向き。


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むみょうの橋

むみょうのはし

岡山県の昔話

怖い怖い話です。

これとよく似た話を、さまざまなバージョンで聞いたり読んだりしたことがあります。たとえば、「母親が、子どもをがけから突き落とす、次に生まれた子どもをドライブに連れて行くと、おしっこがしたいというので車から降りてがけの上に連れて行く、その子がふりむいて、今度はつき落とさないでねっていう」などなど。
現代の民話ですね。都市伝説ともいいます。
でも、「こんな晩」という話型名もちゃんとあるんですよ。

私は、都市伝説のほうを先に知っていて、それが昔から語られていた話の類話だと知ってびっくりしました。「こんな晩」も、さまざまなバージョンがあります。探してみてください。

国際話型では、ATU960「かがやくお日さまが、明るみにだす」。ギリシャ神話や新約聖書にもあるそうなので、見てみようと思っています。グリム童話にもあります。⇒こちら

大人向きの怖い話として再話しました。


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