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ねずみといたちが粟をまいたこと

ねずみといたちがあわをまいたこと

新潟県の昔話

子どもの頃どこかで聞いたような話ですが、日本では、一部の地域以外、あまり語られていないとのことです。

動物昔話は、幼い子どもに語られてきたそうですが、この話も、ちょっと教訓めいていながらも、とんびやからすやすずめが彩を添えて、かわいらしい話になっています。
ずるいねずみは殺されることもありません。
ねずみの歯の由来譚になっているのも、幼い子ども向けですね。

話型名は「鼠と鼬の寄合田」。
ATU9「ずるい相棒」。世界的にはよくある話で、きつね、くま、おおかみなどが登場します。


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仁王さんとガマ

におうさんとがま

熊本県の昔話

話型名は「仁王と賀王」。笑い話の中の業比べの話群に属しています。

全国で語られているのは、仁王さんが寺院の左右の門の中にいて、身近に親しまれているからかもしれません。

仁王の相手は、唐や朝鮮にいて、「賀王、がま、がまん」などと名づけられています。
力持ちの業比べの話は、世界じゅうにあって、ATU1962A「大きなレスラー」に分類されています。


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たいとふぐ

大阪の昔話

極楽の門に鬼の門番がいるというのは、昔話に限らず、世間話や落語などによくあるモティーフです。
また「ふぐ(ふく)は内」というダジャレのオチも、節分の話ではよくあります。
だから、この話は、どこにでもあり得る笑い話といえます。
ところが、和泉の国の岡田浦と、実際に存在する土地が明示されていますね。
ここに語り手の遊びがあります。自分が聞いた話を、自分の土地のこととして、さもあったことのように語る、そのおかしさ。語り手も楽しいし、聞き手もおもしろい。
こんな気持ちで笑い話を語りたいものです。

地名が示されていますが、聞き手に信じさせようという意図はないので、「伝説」とはいえないでしょう。


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おきあがりこぼし

鹿児島県の昔話

原題は「親に逆らわぬ子」ですが、この主人公は、ただ親のいうなりになって主体性を持たないおとなしい子ではありません。親の提案を自分の課題ととらえて解決していきます。

不思議なおきあがりこぼしと出会うのは、もう縁としか言いようがありません。
深く考えずにでも前向きに楽天的に歩いて行ったら道は開けるんだなあと、聞いた後、ホッとした気持ちになります。これもまた人生の一面ですね。


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貧乏神

びんぼうがみ

東京都の話

話型名「貧乏神」

大晦日のおはなし。
金の馬、銀の馬、銅の馬は、「大晦日の客」の年神さまの信仰と重なります。

貧乏神が、夫婦といっしょに逃げようとわらじを作るのがユーモラスです。このモティーフは、外国の昔話にもあります。
また、貧乏神が夫婦にお金をやって酒を買いに行かせるのも、おかしみがあります。

結末が、ずっと貧乏神が居続けるタイプもありますが、この話では、夫婦に説教をしてちゃんと出て行ってくれます。それもなんだかユーモラスです。

貧乏神が、やって来た福の神と戦う話もあります。


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