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はしぼそがらすの神

はしぼそがらすのかみ

北海道(アイヌ)の昔話

ハシボソガラスというのは、ハシブトガラスより、やや小ぶりのカラスで、くちばしも細いです。ユーラシア大陸の草原に広く分布していますが、日本では、高いビルの多い街中ではハシブトガラス、田畑や原っぱなどでは、ハシボソガラスが巣をつくるそうです。

アイヌの人びとは、動物を神として祭ります。自然と調和し共存して生きているからです。
この物語のように、アイヌの人たちは、捕った獲物を全て自分たちのものにしないで、からすの分、きつねの分、鳥の分として置いて帰るそうです。
さきぼそがらすの神は、どうも他の神より位が下のようですが、主人公「わたし」は丁寧にお祭りをしています。

共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒こちら

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六地蔵さま

ろくじぞうさま

長野県の昔話

話型名は「笠地蔵」

おじいさんが地蔵に笠をかぶせることと、地蔵にお礼をもらうことをふたつの柱にした話です。ヴァリエーションは様々あります。
地蔵の数は、1,3,6,7など。
地蔵ではなく、お正月さまや、道祖神のこともあります。

絵本で有名になった話では、六地蔵が宝をかついで運んで来ますが、ここ紹介した話では、六地蔵が旅人に姿を変えてやって来ます。
そのお礼は、いくら出してもなくならないお米のふくろだから、呪物ですね。

大晦日の夜にやってくる来訪神の話ともいわれています。


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鬼の面、お福の面

おにのめん、おふくのめん

愛媛県の昔話

話型名「孝行坂」

お面をかぶって悪者から逃れる、という知恵の働きをテーマとする話を「孝行坂」または「鬼の面」といいます。
全国で語り継がれているそうです。

愛媛県に伝わっているこの「鬼の面、お福の面」のストーリーは、「孝行坂」の典型的な形ですが、娘が鬼の面をかぶるのは、山賊を恐がらせることを意図したものではなく、煙を防ぐためで、偶然でした。テーマは「知恵の働き」ではありません。

病気の親に代わって出稼ぎに行く小さな娘、親に何か悪いことがあったのではないかと悲壮な思いで家に向かう娘、真っ暗な夜道。峠に灯りがひとつ、そこにいたのは恐ろしい悪党たち。最悪の状況で、鬼の面が娘を救ってくれました。

たくさんのお金を手に入れて母親の病気も治って幸せになるという、それまでとは極端な幸福で物語の幕は下ります。
どんなときでも、目の前のことに真剣に向き合えば幸せになれるよ、というメッセージを感じます。


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ねずみのもちつき

愛媛県の昔話

話型名「鼠浄土」こちら⇒昔話雑学

ねずみが暮らしている世界は、たいてい地下の世界ですが、この「ねずみのもちつき」では、「ねずみの家」というだけで、それがどこにあるかは語られていません。
だから、おじいさんが小さなねずみ穴に入って行くという驚きはありません。
ねずみの世界と人間の世界が地続きです。

ストーリーはとても分かりやすくなっています。
おじいさんとねずみの掛け合いや、ねずみの歌のかけ声「スットコバッポ」も楽しくリズミカルです。
幼い子に向きます。


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毘沙門さまの授かり子

びしゃもんさまのさずかりご

宮崎県の昔話

話型名「一寸法師」
ATU700「親指太郎」

指ほどの大きさの男の子が冒険に出る話。どうして世界じゅうに、こんなに有名な話として伝わっているのでしょう。
昔話の主人公は、末っ子だったり、食べる物がないほど貧しくて捨てられたりして、極端な存在であることがよくあるのですが、3センチほどの大きさというのは、極端すぎますね。
日本では、たにしやかたつむりとして生まれる話もあります。
ファンタジーの楽しさが満開といえば、それまでですが(笑)

類話の「五分次郎」こちら⇒も見てくださいね。こちらの解説もあわせて見ていただくと、興味深いと思います。

毘沙門天は、軍神。戦いの神さまです。
その授かり子だから、鬼もやっつけるくらいに強いのです。


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