「恐い話」カテゴリーアーカイブ

ほたる狩りの大入道

ほたるがりのおおにゅうどう

京都の昔話

現代の民話です。かつては、このような怪談話はどこにでも転がっていました。夜道に大入道が出るという世間話を、大人も子どもも信じていました。
ところで、みなさんは、ほたる狩りをしたことがありますか。ちょうど6月の終わりから7月にかけては、日がくれるのがおそく、以前は、子どもたちだけで遅い時間でも外で遊んだものです。田んぼのなかをたくさんのほたるが舞う様子は幻想的ですが、子どもにとっては、何匹とれるかを競う思いがはやります。わたしは、ネギの中にとったほたるを入れて持ってかえりました。虫かごなんか不要な時代でした。


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唐のカンニュウ卿

からのかんにゅうきょう

新潟の昔話

怖い話です。この虫は何を意味しているのかと、思わず考え込んでしまいす。
子どもが訳もなくむずかるのは、大人にとって本当に難儀なものです。それを収めてくれる虫は、ありがたい。でも、鉄を食べるこの虫の正体は分かりません。どんどん成長して牛ほどになります。その不気味さ。手に負えなくなって、とうとう蹈鞴で溶かそうとする。その人間の行為も不気味です。そしてその行為によってカンニュウ卿は自滅します。
なんとなく原子力を予言しているような感じがします。原話の出典の『佐渡島昔話集』は1942年刊です。


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きもだめしのはなし

広島の昔話

きもだめしは、若者たちの納涼のイベントとして、昔からよくあったようです。きもだめしを題材にした昔話は、『子どもと家庭のための奈良の民話3』にも載せています。笑い話のひとつです。
今は、小学生の子ども会、中高生の学校祭などでも行われることがありますね。
どこの遊園地でもお化け屋敷は大人気ですが、お化け屋敷がきもだめしと異なるのは、人工的にお化けを作って人を驚かせること。きもだめしには、人の作ったお化けは出てきません。出てくるのは、本物の・・・。いえ、墓地や山中に浮遊している(とみなが信じている)霊。こわいですね。
さて、この話の落ち、わかりましたか? 歯がないから歯無し、はなし。全国にみられる落ちです。鼻に椎の実が入って、はなし。葉がなくて、はなし。などもあります。

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めしを食わないよめさん

めしをくわないよめさん

山形の昔話

端午の節句にちなんで載せました。飯を食わない嫁がほしいなんて、なんてことでしょうと、子どものころ、わたし、気を悪くしていました。追いかけられて当然、ばちがあたったんだって思っていましたよ。
この類話は全国に分布しています。
結末が、よもぎと菖蒲のおかげで難を逃れるものと、夜の蜘蛛は殺さないといけないという俗信の根拠になっているものとがあります。後者は、女の正体が蜘蛛で、夜に女が蜘蛛になって侵入してきたのをやっつける話です。
女の正体は、山姥や鬼であることも多いです。ここで思い出していただきたいのは、山姥は走る、ということです。この話でもブーンブーンと追いかけてきますね。
追いかける・逃げるというモティーフを持った話を逃竄譚(とうざんたん)と呼びます。うーん、つづきは昔話雑学でどうぞ!

共通語テキストは『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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やまんばと桶屋

やまんばとおけや

岩手県の昔話

山の奥には魑魅魍魎が棲んでいます。ときどき、里山に下りてきて、そこで働く人間と遭遇します。このやまんばもそうです。「 さとり 」 の化け物として語られている地方もあります。
これも 「 おんちょろちょろあなのぞき 」 と同じく、偶然によって助けられる話です。でも、雰囲気はまるで異なりますね。

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