「恐い話」カテゴリーアーカイブ

駅前の自転車預かりの話

えきまえのじてんしゃあずかりのはなし

京都の昔話

短いおまけのおはなしです。もうひとつ話をせがまれたときに語られる形式譚の一種です。話の最後を「はなし」で結びます。
鼻のあなに椎(しい)の実が入って「鼻椎(はなしい)」とか、大根やカブや柿や竹などに葉がなくて「葉なし」とか、この話のように、口を開けたら歯がなくて「歯なし」などがあります。「鼻をにぎられてはなしにならぬ」というのもあるそうです。子どもたちに手をつながせておいて、「放し!」といって手を放させるのもあります。この手のおはなしをひとつ知っておくと便利ですね。
「駅前の自転車預かりの話」は現代の民話です。気味が悪いですが、「歯なし」のタイプはだいたいがグロテスクなものが多いようです。
実際に陰惨な事件が起こるので、語りづらかったりするのですが、それを笑い飛ばすエネルギーも大事かなと思います。音声は、おとなに語っているものです。夏休みの恐いおはなし会で依頼されたけれど、どんな話があるのかなと相談を受けて、思い出しました。以前は子どもに語っていました。またやってみます。


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サイデン、サイデン、小僧、小僧

さいでん、さいでん、こぞう、こぞう

岡山の昔話

話型名は「宝化け物」。荒れ屋敷に化け物が出るというので、旅の男が泊まって退治すると、お金が手に入るという話。化け物の正体はお金だったのです。お金が人間に使ってほしくて化けて出るっておもしろいですね。「金は天下のまわりもの」といいますが、貨幣経済の社会では、お金を使わなければ世の中が回っていかない。「タンス貯金はダメ」ってことですね。
ところで、昔話のなかでは、正体が暴かれると、その化け物は出なくなるというのが決まりのようです。「山寺の怪」や「化け物寺」の話でも、正体が蜘蛛だったり欠けた茶碗だったりするのですが、それを言い当てたり、または白状させると、化けて出なくなります。
子どもは怖い話が大好きです。でも陰惨な話は語りたくないですね。恐くても勇気を持って当たれば大金持ちになれる。なんとストレートで分かりやすいメッセージでしょう。
昔のお金の話をしてから、語りはじめるといいと思います。

共通語テキストは、『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』に掲載しています。⇒書籍案内

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ほたる狩りの大入道

ほたるがりのおおにゅうどう

京都の昔話

現代の民話です。かつては、このような怪談話はどこにでも転がっていました。夜道に大入道が出るという世間話を、大人も子どもも信じていました。
ところで、みなさんは、ほたる狩りをしたことがありますか。ちょうど6月の終わりから7月にかけては、日がくれるのがおそく、以前は、子どもたちだけで遅い時間でも外で遊んだものです。田んぼのなかをたくさんのほたるが舞う様子は幻想的ですが、子どもにとっては、何匹とれるかを競う思いがはやります。わたしは、ネギの中にとったほたるを入れて持ってかえりました。虫かごなんか不要な時代でした。


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唐のカンニュウ卿

からのかんにゅうきょう

新潟の昔話

怖い話です。この虫は何を意味しているのかと、思わず考え込んでしまいす。
子どもが訳もなくむずかるのは、大人にとって本当に難儀なものです。それを収めてくれる虫は、ありがたい。でも、鉄を食べるこの虫の正体は分かりません。どんどん成長して牛ほどになります。その不気味さ。手に負えなくなって、とうとう蹈鞴で溶かそうとする。その人間の行為も不気味です。そしてその行為によってカンニュウ卿は自滅します。
なんとなく原子力を予言しているような感じがします。原話の出典の『佐渡島昔話集』は1942年刊です。


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きもだめしのはなし

広島の昔話

きもだめしは、若者たちの納涼のイベントとして、昔からよくあったようです。きもだめしを題材にした昔話は、『子どもと家庭のための奈良の民話3』にも載せています。笑い話のひとつです。
今は、小学生の子ども会、中高生の学校祭などでも行われることがありますね。
どこの遊園地でもお化け屋敷は大人気ですが、お化け屋敷がきもだめしと異なるのは、人工的にお化けを作って人を驚かせること。きもだめしには、人の作ったお化けは出てきません。出てくるのは、本物の・・・。いえ、墓地や山中に浮遊している(とみなが信じている)霊。こわいですね。
さて、この話の落ち、わかりましたか? 歯がないから歯無し、はなし。全国にみられる落ちです。鼻に椎の実が入って、はなし。葉がなくて、はなし。などもあります。

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