「異界に行く話」カテゴリーアーカイブ

天狗のまな板石

てんぐのまないたいし

奈良の伝説

奈良県東吉野村に伝わる伝説です。
語ったおじいさんは、「 いまどき、天狗が出るやなんて、そんなことはあらへんけどな 」 といいながらも、実際にその石があることを証拠として、「 まんざら嘘でもないと思う 」 とおっしゃっています。
マックス・リュティは、昔話と伝説の違いを説明して、「 伝説は信じられんことを求める 」といっていますが、その一例だと思います。
ひょんなことから異界(彼岸)に行ってきた昔話はたくさんあります。カテゴリーで探してみてください。
ただ、伝説「 天狗のまな板石 」では、彼岸は、はるか遠くにあるのではなくて、ふだんから人が行ききする山、地域の生活の場がいきなり彼岸となるのです。天狗はすぐ裏の山に棲んでいます。これも伝説の特徴です。昔話なら、彼岸ははるか遠くにあります( 昔話の語法参照 )。
裏の山に天狗がすんでいるということを信じられなくなった現代の大人。寂しさを感じてしまいます。

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戦火の弘法大師

せんかのこうぼうだいし

奈良の伝説

戦争が終わって70年。現代の民話と言っていいのでしょうか。弘法伝説のひとつということですが、原話の語り手の思いが切実です。語り伝えたいと思います。


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豆さんころがれ

まめさんころがれ

秋田の昔話

話型名 「 鼠浄土 」。みなさんよくご存知ですね。
音声は、4歳児に語っているライブです。ね、わたしの語りの後、子どもが自分の知っている鼠浄土を話してくれているでしょ。


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さかべっとうの浄土

さかべっとうのじょうど

新潟の昔話

さかべっとうとは、白い蝶ともカゲロウともトビゲラとも言われている、羽のある昆虫。命の短いはかない羽虫で、それが群れをなして川をさかのぼるそうです。昔話では、龍宮城とか山の中とかの異界に出かけて行って、三日たって帰ってきたと思ったら、三十年、三百年たっていた、という話はよくありますね。その逆のバージョンです。
中国唐の時代の故事に 「 邯鄲 (かんたん) の夢 」 というのがあります。立身出世したいと、故郷を離れた若者が、仙人から望みのかなう枕をもらう。その枕で寝るとたちまち出世して、結婚して、それからは落ちぶれたり救われたりしながら紆余曲折の人生をへて、最後は幸せな余生を送り、天寿を全 うする。と思いきや、ふと目を覚ますと、今までのことはみんな夢だった。人生とはそんなもの、諸行無常、という話です。この中国の故事と同じテーマです。はかない羽虫の浄土に行くというイメージにひかれ、語ってみたいと思いました。

共通語テキストは『語りの森昔話集2ねむりねっこ』に掲載しています。こちら⇒書籍案内

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