高知県の昔話
単純なストーリーですが、お地蔵さまがしゃべるところや、その言葉「ぽったりぽったり・・・」が、のんびりしていて、心が温まります。
年末の話になっていますが、いつでも語れます。冬のほうがイメージしやすいでしょうけれど。
「こぢこぢにする」は、「ばらばらにする」の土地言葉です。耳に心地よいのでそのまま再話しました。
話型としては、「大歳の亀」「ものいう動物」に近いのですが、天恵をさずけてくれるのが動物ではなく、地蔵さまになっています。
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いのちのろうそく
印象的な話ですが、『日本昔話通観』には3話しか載っていない、珍しいものです。
話型名「寿命のろうそく」
ろうそくの長さが人間の寿命を示していて、ろうそくが消えるとき、その人の寿命も終わるという設定で、ストーリーが進みます。
ここで紹介した広島の話では、はしごを登って天国に行きます。天国にろうそくが並んでいるのです。門番が鬼だというのが意外です。
鬼が目覚めないか、子どもたちははらはらしながら聞きます。
ろうそく=寿命というモティーフは、グリム童話にあります。KHM44「死神の名づけ親」。ここでは、ろうそくは、洞窟の中に並んでいます。ヨーロッパにはよくあるモティーフのようです。
共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒書籍案内
話型名は「天福地福(てんぷくちふく)」。
生来の幸運により富を授かる致富譚。
全国にありますが、特に東北や日本海側に多いようです。
福運のある者と無い者の違いがはっきりと描き分けられています。
正直じいさんと欲ばりじいさんの話になっているものもありますが、じつは、怠け者が福を得る類話もあるのです。もともとは、人物の性格ではなく、あくまでも天の運によるという話なのでしょう。
世界じゅうに分布していて、ATU834「貧しい兄弟の宝」に分類されています。
ストーリーはほぼ日本の話といっしょですが、となりの爺よりも兄弟の対立が多いようです。
黄金の入ったつぼは、運のない者が開けると、死んだねこやヒキガエル、あり、へび、骸骨、くそ等の入ったつぼに変わります。
中国の類話が面白いので、いつか再話して紹介しますね。
共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒こちら
話型名は「狼報恩」。動物報恩譚のひとつです。全国に分布していて、昔話だけでなく、土地と結びついた伝説も多くあります。
狼は、日本では山の神の使いで、神聖視されていて、動物の中でも特別の存在です。猟師も狼だけは撃たなかったそうです。昔話の中でも神に近い存在として扱われています。
こちら⇒《昔話雑学》
残念ながら、日本狼は絶滅しました。昔話の中だけでも、生き残ってほしいと思います。
『子どもと家庭のための奈良の民話2』には、狼の話を2話入れていますが、そのうちの「おおかみのおんがえし」は、日本で最後に狼が発見された吉野の伝承です。
「犬神山のおおかみ」では、太郎作が狼の喉からとげを抜いてやり、狼がその恩返しをします。韓国や中国では、狼ではなくトラ、ヨーロッパでは、クマやライオンになっているようです。
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話型名は「宝瓢(たからひさご)」。
ふしぎなひょうたんを手に入れて、福を授かる話。
呪宝譚のひとつです。呪宝譚についてはこちら⇒《昔話雑学》
おじいさんは、観音さまにお願いをして、ひょうたんを手に入れますが、類話によっては、ヒョウタンネズミからもらうという話もあるそうです。鼠浄土と混ざっているのですね。どちらも、ひょうたんから童子が出てきて望みをかなえてくれます。その点では竜宮童子と似ています。
ひょうたんから出て来たふたりの童子には、名前が付いています。おじいさんが,ひょうたんを抱きあげたらひょっこり飛び出して来たというのが、かわいらしいですね。
馬喰は、馬や牛を売り買いする商人です。子どもに語るときには、ちょっと説明をはさむといいかと思います。
低学年から高学年まで楽しめると思います。
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