「異界に行く話」カテゴリーアーカイブ

天人女房

てんにんにょうぼう

鹿児島県の昔話

天女が、羽衣を奪われて、男の嫁になる、異類婚姻譚です。羽衣伝説として全国で広く伝わっています。たなばたの由来話でもあります。

天人女房の類話は、15世紀の御伽草子にもあるので、とても古くからの伝承なのですね。⇒「あめわかひこ」
そういえば、後半の天にのぼってからの難題婿のモティーフは、古事記にもあります。⇒「根の堅洲の国」。古事記のほうは、主人公は天ではなくて地下の世界へ行きます。

天に飛び去った妻を求めて旅に出る話とざっくり分類すると、世界中にあります。⇒「ガラスの山」など。

古今東西を問わず人気のおはなしなんですね。


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ねこまた

秋田県の昔話

熊本県に根子岳の伝説がありストーリーはほぼ同じです。(⇒こちら
今回紹介する「ねこまた」は、秋田県の伝承で、土地にまつわる伝説ではなくて、架空の場所の話、つまり昔話です。
話型名は「猫山」または「猫屋敷」といって、全国に伝わっています。

ねこは、昔から人間に慣れ親しんできた動物です。けれども、犬と違って、昔話の中では、ちょっと不気味な存在でもあります。
「ねことかぼちゃ」「ねこと茶釜のふた」「ねこの踊り」などのねこは、ほぼ妖怪ですね。


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竜神さまと花売り

りゅうじんさまとはなうり

鹿児島県の昔話

竜宮から贈り物をもらって来て、お金持ちになる話です。

話型名「竜宮童子」。そのなかでも、「竜神さまと花売り」は、「竜宮子犬」と呼ばれる話です。
もらってくるのは子犬です。
主人公は幸せになりますが、それをねたんだ金持ちの兄は、欲を出して失敗します。「とほう」こちら⇒とは、趣向は同じでも、ストーリーも結末もずいぶん異なりますね。


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ねこの家

ねこのいえ

熊本県の伝説

根子岳(ねこだけ)というのは、熊本県にある標高1433mの山で、阿蘇五岳(あそごがく)のひとつです。

肥後国(ひごのくに=現熊本県)のねこは、七歳になると、根子岳に修行に行くといわれていました。その修行の場がねこの家です。
人間にとっては恐ろしい家ですね。迷い込みたくないです。

根子岳にはもうひとつ伝説があります。それは、根子岳は阿蘇五岳のうちの末っ子で、背が高くなるために、鬼と契約したというものです。
鬼が阿蘇の国を自由にあばれまわれるかわりに、自分の頭に竹田の土を積ませたのです。
それを知った阿蘇大明神が怒って、根子岳の頭をぴしゃぴしゃたたきました。それで、根子岳の山容はギザギザなのだそうです。


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あめわかひこ

御伽草子

15世紀室町時代のお伽草子です。

別名を「七夕」といい、七夕の由来を語ります。
天上の異郷遍歴譚であり、難題嫁、異類婚姻譚でもあります。これらのモティーフは、ヨーロッパの昔話にもあるので、世界共通で本当に古くから好まれてきたストーリーなんだなあと、おどろいてしまいます。

七夕の話は様々あって、特に天人女房が多いのですが、ここは、男が彼岸の存在で、妻が夫を求めて天にのぼるというのが、ちょっと違っておもしろいと思います。
宵の明星や、すい星、スバルなどの星が登場するのも、おもしろいですね。

ぜひ七夕に語ってくださいね。


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