「3 低学年から」カテゴリーアーカイブ

かわ

絵巻じたて ひろがるえほん かわ

加古里子作/福音館書店 2016年

1962年に「こどものとも」で出版された『かわ』は、単行本になって、長いあいだ子どもたちに読まれてきました。
公害などの観点から書かれた文章が、年月による環境変化によって途中で変更になったりもしています。歴史を感じさせますね。

その『かわ』が、絵巻のかたちで出版されています。もともと前のページの右端と次のページの左端が続くように描かれていて、ページをめくりながら楽しんでいましたが、それが、ずらっと一枚の絵になっているのです。嬉しくなりました。
広げると、約7メートルです。 
しかも、表からと裏からと両面あるのです。
表から読んでいくと、文字はなくてカラーの絵巻です。細かい描写を想像して楽しみながら読み進めていくと、海に出ます。海の青の美しいこと!
しかも、大海原が4ページも続くのです。水平線は弧を描いています。
裏から読むと、モノトーンで、文章が説明してくれます。科学絵本であることを思い出させてくれます。
おはなし会で手に持って読むのは難しいですが、文庫などの広い床に広げながら読むと、そのスケールに感動すること請け合いです。

ロバのシルベスターとまほうの小石

ウイリアム・スタイグ作/瀬田貞二訳/評論社 1975年

シルベスターの趣味は小石集め。小さな子どもによくある楽しみですね。ある雨の日、シルベスターは、赤く光ってビー玉のような真ん丸な小石を拾います。それを持って、ふと「雨がやんでくれたら、なあ」とつぶやくと、いっぺんに雨がやんで、お日様が輝きました。
赤い小石は、なんでも願いのかなう小石だったのです。
シルベスターは、大喜びで、小石を持ってお父さんとお母さんのもとへ帰ろうとしました。その途中、ライオンに会って食べられそうになります。とっさに小石に願い事を言います。「ぼくは岩になりたい」

さて、それからどうなるでしょう。
シルベスターは待ちます。絶望しながら待つしかないのです。
両親は、シルベスターが行方不明になって、悲しみに沈みます。そして、待ちます。

親と子、双方の思いが身につまされます。最後のページの親子の抱き合う姿に、思わす涙が・・・

タコやん

富安陽子文/南伸坊絵 福音館書店 2019年6月

ある日、海から、たこのタコやんが、しょうちゃんの家にノタコラ、ペタコラやって来ます。「あそびましょ!」だって。しょうちゃんは、テレビゲームの最中だったので、断ります。でも、タコやんは、ドアのすきまから入りこんで、ゲームを始めます。その強いこと!
「タコやん、すっげえ!」としょうちゃんがいうと、タコやんは、照れて、一本足で頭をかいて、「それほどでも」。
公園でサッカーをすると、みんなは「タコやん、すっげえ!」
かくれんぼも、なかなかみつかりません。そこへ、犬を連れたおじさんが・・・

特になんということのないストーリーなのですが、平凡な日常ながら、わくわく感があるし、心なごみます。繰り返しのリズムも楽しく読めます。

ももくりチョコレートのあそび

かこさとし作 農文協 1991年

「かこさとしあそびの大惑星」シリーズの7冊目。副題は「遊びのお菓子大列車」。

すみからすみまで、お菓子を使った遊びで埋め尽くされている本です。

紙の桃太郎の作り方、まめリンピックで豆とマッチ棒を使った遊びの遊び方、豆の数え歌、みつ豆やコーヒーやアイスクリームの作り方(ほんもの。食べられます)、ホットケーキとカステラの小咄、紙で膨らむおもちやのびる餅菓子の作り方、クイズのカステラの切り方・チョコの分け方、レモンの実験(紅茶レモン・牛乳レモン・お金レモン)、・・・・これは、ほんの一部です。とにかく、読んでみてください。

<レモンばなし> せんせい「レモンのじっけんはうまくできましたか?」せいと「はぁ、すっぱいでした。」

「パパはパパイヤ」
「おいしいのはドリヤン?」
「これスイカ、あまいか?」

「これはなんでしょう?」「かきのたねです?」「いいえケンカのタネです」と、さるとかにが話しています。

みらいのえんそく

ジョン・ヘア作/椎名かおる文 あすなろ書房 2019年

ジョン・ヘアは、アメリカのイラストレーター。これは、彼の最初の絵本です。
 
学校の遠足で月に着陸するところから話は始まります。絵を描くのに夢中で一人取り
残された男の子。こういう子って、どこにでもいますね(笑)取り残されたけれど、諦めて絵でも描こうと腰を落ち着けます。そこへ、目がひとつの宇宙人が5人、恐る恐る近づいてきます。宇宙人たちは、好奇心いっぱい。
 
男の子は、宇宙人たちにクレヨンを貸してって、宇宙人たちは大喜びで月の岩に落書きを始めます。
 
とにかく絵がうまい。宇宙服を着ているのに、何を考えているのか、微妙な表情までわかるのです。

そらはあおくて

シャーロット・ゾロトウ文/なかがわちひろ訳/松浦さやか絵 あすなろ書房 2018年

女の子が、お母さんの子どもの頃のアルバムを見ています。服もお店も家の中にある物も、お母さんが子どもの頃は、今とずいぶん違っていることに気が付きます。する
とお母さんがいいます。
「そんなことないわ。大切な事は少しも変わっていない。空は青くて、草は緑。雪は白
くて冷たくて、お日さまはまぶしく暖かい。今とおんなじだったのよ」
夜になるとお母さんがベッドで寝かしつけてくれるのも、今と同じだとお母さんはいい
ます。

もっと古いアルバムを開くと、おばあさんの子どもの頃の写真がありました。女の子
は、今とはずいぶん違うと思いましたが、お母さんは、
「そんなことないわ。大切な事は少しも変わっていない。空は青くて、草は緑。雪は白
くて冷たくて、お日さまはまぶしく暖かい。今とおんなじだったのよ」といいます。

曾祖母のアルバムも開いてみます。やはり、たいせつなことは変わらないと、お母さ
んは説明します。そして、女の子が大きくなったら、わが子に同じことを説明してあげ
てねというのです。

ソロトウの「終わりになるものは何もない」という思想に心が揺すぶられます。

サン・サン・サンタひみつきち

かこさとし作 偕成社 1986年

「かこさとし七色のおはなしえほん」シリーズの10冊目です。

あとがきに、「たった一日で地球のすみずみの各家庭を、いっせいに訪れることができる不思議なサンタの謎と、その秘密の全部を、すっかり明らかにしたのが、この本です。」とあります。
 
サンタクロースの秘密を知りたいと思っている子どもはたくさんいるでしょう。子どもたちの質問にうまく答えられないとき、この絵本はうってつけです。
 
子どもたちには、サンタクロースの存在を疑いもしない幼い時代をできるだけ長く、幸せに過ごさせてやりたいと思います。また、地球上には、サンタクロースの存在を知らず飢えと病気で苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。その子たちにもこの本を贈ることができたらどんなにいいかと思います。
 
ところで、サンタの秘密基地は、どこにあると思いますか?

パンプキン

ケン・ロビンズ写真と文/千葉茂樹訳 BL出版 2007年

枯草色の広大な畑に転がるオレンジ色の大きなカボチャたち。色も大きさも、日本のカボチャのイメージとはずいぶん違います。とってもダイナミックです。ここは、アメリカ合衆国の畑です。

ノンフィクションの写真絵本です。カボチャの種まきから始まって、芽が出てつるが伸びて、花が咲いて子房がふくらんできてりっぱなカボチャになります。掌サイズのものからものすごく大きいものまで。子どもたちは目を丸くして見つめます。

そのカボチャの頭を切って、中をくりぬいて、目や鼻や口を切り抜きます。畑にならぶお化けカボチャのさまざまな表情に、子どもたちは、○○ちゃんに似てるとか、××ちゃんやとか、おもしろがって見ています。
けれども、夜になって、カボチャの中にろうそくがともされると、一転「こわ~い!」

日が暮れた家の前にともされるお化けカボチャ。ハロウィーンの行列の中にうかび上がるカボチャのランタン。カボチャは、ささやかで楽しいちょっと恐いお祭りの主役です。

たまにはとおくへ

マイク・クラトウ作 福本友美子訳 マイクロマガジン社 2019年

「ちいさなエリオット」シリーズの第4冊目。エリオットは水玉模様の小さなぞうです。友達のねずみと、大都会で楽しく暮らしています。
 
エリオットは、小さくて弱くてちょっと間が抜けています。間が抜けているから強いのかもしれません。ねずみが、いつもちゃんとサポートしてくれます。子どもは、すぐにエリオットに心情的に同化できます。

エリオットは、食いしん坊なので、シリーズの4作とも、食べ物が出てきます。これも、子どもが喜ぶ要素ですね。
 
それから、わくわくする遊びを体験できます。「たまにはとおくへ」では、かくれんぼと、星空観察。
 
ある秋の日、エリオットとねずみは、バスに乗って郊外へピクニックに出かけます。その風景の秋色がすばらしい。農場のりんごを食べたり、葉っぱの山に飛びこんだり。そして、かくれんぼをするうち、エリオットは、ねずみとはぐれてひとりぼっちになってしまいます。存在の不安を、トウモロコシ畑のふたつの見開きが表しています。
 
なんとも懐かしい風情の農家で、新しい友達に囲まれて、おいしいごちそうを楽しむエリオット。夜になると、干し草にもぐりこんで、ねずみと、星の名前の当てっこをしながら眠ります。最後の見開きの星空もすばらしいです。

ゆき!ゆき!ゆき!

オリヴィエ・ダンレイ作/たなやまや訳 評論社 2002年

寒い寒い雪の夜の一コマです。家の中には母親と赤ん坊のふたりだけ。静かな静かな、なべの中でお湯のわく音やほだぎのはぜる音が聞こえてきそうな絵です。粗末だけれど頑丈な家の中には、必要なものがじゅうぶん、あるべき所にあるという安心感が感じられます。

雪の降る、おそろしいような大自然の中に、母親は、赤ん坊を毛皮にくるんで出て行きます。

「ねえ ぼうや、 おそとは ゆき!」

見てごらん、嗅いでごらん、聞いてごらん、食べてごらん、と母親は赤ん坊に雪を教えます。雪のトロルを作り、そりすべりをし、思い切り遊んで楽しんで、ふたりは帰ります。

温かな家の中。赤ん坊はゆりかごで眠ります。母親は足を温め、お茶を飲み、こっくりこっくり眠ります。

この静けさは、高学年の子どもも楽しめます。