さる地蔵

さるじぞう

山形県の昔話

話型名は「猿地蔵」。

人の好いおじいさんが、動物の援助で宝物を手に入れて幸せになる話。多くは、隣の爺型になっているそうです。 
日本全国に広がっています。
今回紹介したのは山形県の話ですが、「ぶいが谷のお酒」こちら⇒は島根県に伝わる話です。どちらも同じ話なのに、言葉の選びによって雰囲気が異なりますね。自分の感性に合った話を選べばいいと思います。

なお、この話型は、古いもので、鎌倉時代の『雑談集(ぞうたんしゅう)』にも載っています。『雑談集』は、『沙石集』を書いた無住(むじゅう)が書いた説話集です。

低学年でも楽しめます。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りを聞けます。

⇒ 本格昔話一覧へ

いぬときつねの旅

いぬときつねのたび

岩手県の昔話

まるでイソップ童話のような話ですね。
このきつねのような人間はいますし、それを皮肉る意味があったのでしょう。
また、ともすれば、人はこんなふうに高慢になることもあります。それを戒める意味もありますね。

大人同士の小咄や、高学年のおまけの話にどうぞ。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りを聞けます。

⇒ 動物たちの話一覧へ

じゃんこじゃんこ

高知県の昔話

結末がショッキングですね。
でも、身分が高いからといって、わけもなく愚弄する侍は、許せません。それに、侍は自分で勝手に毒を飲んだのだから、自業自得ですね。

日本各地に類話があって、難題話の中の「馬の歩数」と呼ばれる話型です。
奈良には、お藤井戸の伝説があります。⇒『子どもと家庭のための奈良の民話1』村上郁再話
こちらは、柳生宗矩が側室のお藤と初めて出会う場面で語られます。ハッピーエンドの話になっています。

じつは、世界的に類話があるのです。
世界中どこでも権力者の横暴はあったということですね。弱い者がそれを知恵の力でやっつける痛快な話です。
ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」が、話型名。
あれれ? そうです、「ラ・レアールの修道院長」がそれですね。こちら⇒
ただ、「ラ・レアールの修道院長」は、結末があたたかな笑いになっていますね。
世界的には、この話型は、代わって答えた者はほうびを与えられることになっています。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りを聞けます。

⇒ おかしな話一覧へ

うろこ玉

うろこだま

岩手県の昔話

呪宝譚のなかでも、もっとも代表的な話。
話型名は「犬と猫と指輪」。え?指輪?バタ臭いですねえ(笑)。そうなのです、これは世界じゅうに分布している話で、「マジック・リング」と呼ばれています。
ATU560。
朝鮮半島に伝わる類話「いぬとねこと玉」を再話してあるので比べてください(こちら⇒

日本の話の場合は、呪宝をさずけてくれる者によって、三つのサブタイプに分かれます。
「蛇サブタイプ」は東北地方中心ですが、かつては日本全体がこの系統だったようです。
「猿サブタイプ」は九州から中国地方で、宝物は猿の三文銭です。
「竜宮サブタイプ」は竜王から宝をもらう話で、九州中心。

今回紹介した「うろこ玉」は「蛇サブタイプ」です。
ねこと犬がそれぞれの特性に応じて活躍します。
失敗の原因がきつねというのも、意外性があっておもしろいです。

「猿サブタイプ」と「竜宮サブタイプ」の合体した話として「かっぱの一文銭」(こちら⇒)もどうぞ。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

日常語の語りを聞けます。

⇒ 本格昔話一覧へ

ぽったりもち

高知県の昔話

単純なストーリーですが、お地蔵さまがしゃべるところや、その言葉「ぽったりぽったり・・・」が、のんびりしていて、心が温まります。
年末の話になっていますが、いつでも語れます。冬のほうがイメージしやすいでしょうけれど。
「こぢこぢにする」は、「ばらばらにする」の土地言葉です。耳に心地よいのでそのまま再話しました。

話型としては、「大歳の亀」「ものいう動物」に近いのですが、天恵をさずけてくれるのが動物ではなく、地蔵さまになっています。


下のボタンからテキストをダウンロードできます。

語りを聞けます。

⇒ 本格昔話一覧へ