「女の子の成長の話」カテゴリーアーカイブ

くま神の娘

くまがみのむすめ

北海道(アイヌ)の昔話

アイヌの昔話の多くが一人称で語られます。
(ちなみに、ペナンぺ話などの隣の爺型の話や和人から伝わった話は三人称です。)
この「くま神の娘」も一人称です。しかも、初めは老女が語り、次は犬、最後は男が語るという形になっています。

「アイヌの語り手は常に自ら昔話の登場人物になりかわって語り、しかも時には神になりかわって語るのである。聴衆の前で、語る行為のうちに、人である語り手は神と同一化している。」

と、原話の解説にあります(千本英史)。

ただ、わたしたちが語るとき、どこまでなりかわることができるか、または、なりかわっていいものかは、疑義のあるところだと思います。
わたしたちは、あくまでも媒体なので、過度の感情移入は慎まなければならない。ひとりの語り手が、いかにも犬になったり男になったりと、演じるのは不自然だと思います。
ただ、一人称であるための臨場感というか、リアリティは生まれます。それをうまく語りに生かしたいです。

さて、内容。
人と動物と神がゆるやかにつながっているアイヌの世界観を楽しみましょう。


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ばばっかわ

新潟県の昔話

継子話のひとつで、話型名は「姥皮(うばかわ)」といいます。
類話は全国で伝えられています。
全国どころか、世界じゅうで語られています。グリム童話「千枚皮」やイギリスの「い草のずきん」によく似ているでしょう、同じ話型です。ATU510B「ロバ皮」。
とっても日本らしい話なのに、骨組だけにすると、世界共通なのはどうしてなのでしょう。

ところで、ATU510A「シンデレラ」の日本版に「むすめのくり拾い」があります。こちら⇒


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おおかみのまつ毛

おおかみのまつげ

岩手県の昔話

話型名は「炭焼長者」

生まれたときに授かった運で人生が決まっていく話は、たくさん残っているようです。ちょっと残念な気もしますが(笑)
主人公は、運命と戦ったりやりすごしたりしながら前向きに生きているように思います。

この話の主人公である福を持っている女性は、夫のために福を失います。けれども、勇気をもって次の一歩を踏み出すことで、ふたたび福を得ます。
やはり、その人がどう生きるかということなのですね。

生まれたときに、神が運を授ける話は、世界じゅうにあるようです。
おはなしひろばの「七つの年の水のじゅみょう」(日本の話)も、生まれたときに神さまから運をもらっていますね。こちら⇒

おおかみに出会って、人と動物を見分ける呪物であるまつ毛をもらうモティーフがおもしろいと思います。これだけでひとつの話型にもなっています。


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あめわかひこ

御伽草子

15世紀室町時代のお伽草子です。

別名を「七夕」といい、七夕の由来を語ります。
天上の異郷遍歴譚であり、難題嫁、異類婚姻譚でもあります。これらのモティーフは、ヨーロッパの昔話にもあるので、世界共通で本当に古くから好まれてきたストーリーなんだなあと、おどろいてしまいます。

七夕の話は様々あって、特に天人女房が多いのですが、ここは、男が彼岸の存在で、妻が夫を求めて天にのぼるというのが、ちょっと違っておもしろいと思います。
宵の明星や、すい星、スバルなどの星が登場するのも、おもしろいですね。

ぜひ七夕に語ってくださいね。


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鬼の面、お福の面

おにのめん、おふくのめん

愛媛県の昔話

話型名「孝行坂」

お面をかぶって悪者から逃れる、という知恵の働きをテーマとする話を「孝行坂」または「鬼の面」といいます。
全国で語り継がれているそうです。

愛媛県に伝わっているこの「鬼の面、お福の面」のストーリーは、「孝行坂」の典型的な形ですが、娘が鬼の面をかぶるのは、山賊を恐がらせることを意図したものではなく、煙を防ぐためで、偶然でした。テーマは「知恵の働き」ではありません。

病気の親に代わって出稼ぎに行く小さな娘、親に何か悪いことがあったのではないかと悲壮な思いで家に向かう娘、真っ暗な夜道。峠に灯りがひとつ、そこにいたのは恐ろしい悪党たち。最悪の状況で、鬼の面が娘を救ってくれました。

たくさんのお金を手に入れて母親の病気も治って幸せになるという、それまでとは極端な幸福で物語の幕は下ります。
どんなときでも、目の前のことに真剣に向き合えば幸せになれるよ、というメッセージを感じます。


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