せんりょうばこ
新潟県の昔話
お人好しのおじいさんおばあさんが福を授かる話。
昔話には、ただ楽しませるだけでなくて、人に何かを教える効果というか目的もあります。この話を語ってもらって、聞いた人が「じゃあ千両箱を手に入れるためにお人好しになろう」と思ったとしたら、千両箱は手に入るかな?
いやいや、人をだましたつもりが、自分の身に不幸が降りかかるものだということを教えているのでしょうか。
まあ単純に笑い話として楽しむのがいいのでしょうね。
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話型名を「長い名の子ども」といいます。
全国に伝わっている人気のある笑い話です。
子どもに短い名前を付けたら、早死にしたので、次に生まれた子には長い名前を付けます。
その長い名前が、さまざまな伝承があって、じつにおもしろいのです。
「へーとこへーとこ」(こちら⇒)は京都府の伝承です。比べてみてください。
古くは鎌倉時代の『沙石集』にもあります。
室町時代位から、早物語という滑稽で早口で語るはなしがはやっていたそうです。「長い名の子ども」も、早物語として全国に広がったのだろうといわれています。
早物語から早口言葉が生まれたともいわれています。興味深いですね。
だから、語るときは、名前の所を早口で語ります。
ところで、落語の「寿限無」も類話です。
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さるじぞう
話型名は「猿地蔵」。
人の好いおじいさんが、動物の援助で宝物を手に入れて幸せになる話。多くは、隣の爺型になっているそうです。
日本全国に広がっています。
今回紹介したのは山形県の話ですが、「ぶいが谷のお酒」こちら⇒は島根県に伝わる話です。どちらも同じ話なのに、言葉の選びによって雰囲気が異なりますね。自分の感性に合った話を選べばいいと思います。
なお、この話型は、古いもので、鎌倉時代の『雑談集(ぞうたんしゅう)』にも載っています。『雑談集』は、『沙石集』を書いた無住(むじゅう)が書いた説話集です。
低学年でも楽しめます。
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いぬときつねのたび
まるでイソップ童話のような話ですね。
このきつねのような人間はいますし、それを皮肉る意味があったのでしょう。
また、ともすれば、人はこんなふうに高慢になることもあります。それを戒める意味もありますね。
大人同士の小咄や、高学年のおまけの話にどうぞ。
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結末がショッキングですね。
でも、身分が高いからといって、わけもなく愚弄する侍は、許せません。それに、侍は自分で勝手に毒を飲んだのだから、自業自得ですね。
日本各地に類話があって、難題話の中の「馬の歩数」と呼ばれる話型です。
奈良には、お藤井戸の伝説があります。⇒『子どもと家庭のための奈良の民話1』村上郁再話
こちらは、柳生宗矩が側室のお藤と初めて出会う場面で語られます。ハッピーエンドの話になっています。
じつは、世界的に類話があるのです。
世界中どこでも権力者の横暴はあったということですね。弱い者がそれを知恵の力でやっつける痛快な話です。
ATU922「羊飼いが聖職者の代わりに王の質問に答える」が、話型名。
あれれ? そうです、「ラ・レアールの修道院長」がそれですね。こちら⇒
ただ、「ラ・レアールの修道院長」は、結末があたたかな笑いになっていますね。
世界的には、この話型は、代わって答えた者はほうびを与えられることになっています。
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