おさけのいずみ
鹿児島県の昔話
親孝行の息子が、父親のためにいつも酒を買ってくる、あるとき、泉の水がお酒に変わっていたという孝子伝説があります。
岐阜県の養老の滝の伝説が有名ですね。
親孝行とは別に、貧しい者が酒の湧き出る泉などを発見して幸せになるというモティーフは、庶民に人気があったようです。
「炭焼長者」「産土問答」「芋掘り長者」などに出てきますが、これがお酒ではなくてお金だったというバージョンもあります。
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ねずみのききみみずきん
運定めの話を探していて見つけました。
お堂に泊まっていると、神さまたちが生まれた子どもの運命を話す、その運命をめぐっての物語です。
「ねずみの聞き耳ずきん」は、運定めの大きな構造の中に聞き耳のエピソードが挟み込まれています。
話型としては「聞き耳」です。
参考 おはなしひろば「聞き耳」⇒こちら
「聞き耳」は、動物(日本では多くが鳥)の言葉が分かる呪物です。
恩返しにもらう宝物という形が多いです。
自分の運命を知った主人公の男の行動がショッキングではありますが、ねずみへの親切心とねずみの恩返しのおかげで、人間味のあるストーリーになっていると思います。
結末がちょっとぞっとしますが(笑)
高学年から中学生、大人向き。
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おおかみのまつげ
話型名は「炭焼長者」
生まれたときに授かった運で人生が決まっていく話は、たくさん残っているようです。ちょっと残念な気もしますが(笑)
主人公は、運命と戦ったりやりすごしたりしながら前向きに生きているように思います。
この話の主人公である福を持っている女性は、夫のために福を失います。けれども、勇気をもって次の一歩を踏み出すことで、ふたたび福を得ます。
やはり、その人がどう生きるかということなのですね。
生まれたときに、神が運を授ける話は、世界じゅうにあるようです。
おはなしひろばの「七つの年の水のじゅみょう」(日本の話)も、生まれたときに神さまから運をもらっていますね。こちら⇒
おおかみに出会って、人と動物を見分ける呪物であるまつ毛をもらうモティーフがおもしろいと思います。これだけでひとつの話型にもなっています。
共通語テキストは『語りの森昔話集6プレッツェモリーナ』に掲載しています。⇒こちら